携帯3社のiPhone6、どれが「買い」なのか LTEエリア、VoLTE対応などを検証

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”お得”という視点で見てしまうと、購入時の一時的な支払金額を下げることなのか、それとも2年間のライフタイムサイクルでの支払い総額なのか。また家族割引やインターネット回線とのセット割引、家族同士での通話時間や通信容量の分け合いといったことも考慮する必要が出てくる。これらの”お得感”を突き詰めると、購買者ごとの事情や目的次第であまりに多様な結論が導けてしまう。

一方でLTE対応や新機能のVoLTE対応など、通信インフラやサービスに絞るれば、もう少し違う話が見えてくる。

LTEエリアではKDDIが優位

まずLTEのエリアで見るならば、ライバルも認めているように現時点ではKDDIが優位だ。800MHz帯のLTEサービスは、ほぼ3Gネットワークと同等にまで広がっており、とりわけ地方でのつながりやすさ、郊外の観光地やイベント施設などのカバーなどで差を感じることが多い。800MHz帯対応の端末では、データ通信時にLTE以外の電波を捕まえることはないだろう。

加えて有利なのがiPhone 6発売当初から、キャリアアグリゲーション(CA)技術に対応していることだ。CAは複数の周波数帯を束ねて高速化する技術で、すでにKDDIは導入済み。現在は2つの周波数帯を束ねる。iPhone 6の場合は800MHz帯と2.1GHz帯を束ねて150Mbpsを実現する。

以前の田中孝司社長へのインタビュー記事にもあった通り、2.1GHz帯のエリアも順次広げられている。800MHz帯のLTE網は繋がりやすいこともあり、都心では混雑が進んでおり、むしろ2.1GHz帯にしかつながらないiPhone 5の方が高速ということもあるが、CAが導入されたiPhone 6への置換えが進めば、両周波数帯への負荷が平準化して混雑も緩和するだろう。

加えてiPhone 6ではTD-LTE(データ通信部の技術はWiMAX2+と同一)にも対応しており、UQコミュニケーションズの高速ネットワークにもつながる。UQコミュニケーションズのWiMAX2+エリアは都市部に集中しているが、そうした密集部の混雑緩和には役立つ可能性が高い。

現時点ではKDDIのネットワークが、iPhone 6によりマッチしているように思えるが、では、他社が手をこまねいているかと言えば、もちろん対策が進んでいる。

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