KDDI田中社長、「僕の計画をすべて話そう」 シリーズ「これからの通信」 KDDI(前編)

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 携帯電話会社周辺の国内事情は今、大きな節目を迎えている。
 第三世代……いわゆる3G携帯電話網のエリアに補助的にかぶせるように作られてきたLTE網だが、NTTドコモがLTEを通じた音声通話サービス(VoLTE=ボルテ)を開始。次いでKDDI、ソフトバンクも導入する見込みだ。またデータ通信量の増加に伴い、LTE網を強化するLTE-Advancedの導入も早急に進んでいくと見られる。
 そうした中で、電波をめぐる環境も激変している。国際ローミングを意識し、使用する周波数帯が国際的にもまとめられていた3G時代とは異なり、LTEは地域ごと、国ごとに利用する周波数が異なる。国際的によく使われている周波数帯(エコバンドと呼ばれる)と、各国が独自に割り当てた周波数帯が入り交じるようになった。
 そのため各キャリアは、自国、自社のネットワーク構成にピッタリと合う端末を用意する必要が出ている。と同時に、iPhoneのように特別な仕様に細かく対応しない端末の取り扱いが難しくなっていく可能性が浮上している。
 顧客との接点も変革期にある。携帯電話契約のクーリングオフ問題、高額キャッシュバックに対する批判にどう対応するか。また、総務省が示している、端末のSIMカード制限解除の義務化(SIMフリー義務化)といった議論も、これまで行われた「端末+通信契約のセット販売」というビジネスモデルを揺るがすものだ。その結果、末端の販売店網は大きく再編される可能性がある。
 携帯電話事業は重大な社会基盤を担う。経営には、目先の判断ではなく、長期的なビジョンが求められる。他社比較での優位性や価格比較だけでなく、「与えられている条件の中で何をやろうとしているのか」「将来のトレンドをどのように読んで、どのように投資をしようとしているのか」が重要なのである。
 こうした問題意識を伝えた上で、各社への取材を進めていく。まず、第一弾はKDDI社長の田中孝司社長。KDDIのLTE網は、人口カバー率がもっとも高い。また、3Gネットワークではマイノリティとなった、ナローバンドのcdmaを国内で唯一使ってきたキャリアでもある。そんなKDDIの立場からのインフラ投資のあり方について、話を聞いた。

どのようにLTEネットワークをつくるか

――まずはインフラ投資について伺いたい。LTE-Advancedを見据え、どのようにLTEネットワークを整備しますか。

我々が現在持っている周波数帯のうち、主力となっているのはBand 18(800MHz帯)とBand 1(2.1GHz帯)です。これに加えて(端末の共同開発が行われている)Android端末に関してはBand 11(1.5GHz帯)も使えます。この三つの周波数がメインで、さらに2014年夏モデルからはWiMAX2+にも対応しました。これはWiMAXと呼んでいますが、実際にはTD-LTEです。

さらに、この先を見据えるならば、Band 28という700MHz帯の周波数もあって、この3月ぐらいからヒアリングを行い、移行計画を練っているところです。

こうした中で、我々の課題は、いただいた周波数(免許)を活かすために、どう効率よく整備を進めていくか、ということ。音声についても、より高効率で音質も良いVoLTE(LTEのIP網を通じた音声サービス)に行くのがシンプルでしょうし、効率的に周波数を使う上でキャリア・アグリゲーション(複数の周波数帯による通信を一体的に運用する方式)は重要です。

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