KDDI田中社長、「僕の計画をすべて話そう」 シリーズ「これからの通信」 KDDI(前編)
――免許を持っている3つの周波数帯に加え、将来は700MHz帯もLTEへ移行ということですが、WiMAX2+の活用は現在のところ”+α”にとどまっています。
UQは現在、WiMAXサービスに30MHzを割り当てていて、隣接する20MHzでWiMAX2+を開始しています。現在、端末を徐々にWiMAX2+へと移行していますから、将来はWiMAX向けの帯域を縮退させ、空いた周波数帯をWiMAX2+に移行させます。こうすると40MHz幅となり、最大220Mbpsのサービスが可能になります。アンテナを4x4にすれば、もっと速くなりますよ。
この帯域をスマートフォンでも使えるように、TDD(複信方式のひとつで、時分割で複信をサポート。一般的なLTEはFDD方式で周波数分割)のLTE(WiMAX2+はデータ通信部に関してTD-LTE互換)と、通常のLTEとの間でキャリア・アグリゲーションをさせます。かつては、FDなのかTDなのかといった議論もあり、基地局や端末は両方サポートするのは大変だなどという人もいましたが、もうFDとTDの間には障壁がなくなっていて、基地局も端末も両方同時にサポートできます。さらに三つ以上の帯域をキャリア・アグリゲーションもできますから、技術的には可能なんです。
別会社でもアグリゲーションできるようにするべき
――しかしUQコミュニケーションズはKDDI資本とはいえ、別会社です。別会社に割り当てられた免許で構築されているネットワークをアグリゲーションすることに、業界内の抵抗はないのでしょうか。
現状はできません。技術的には可能であっても、UQは別の会社のため制度上、KDDIがUQの周波数帯を使ってキャリア・アグリゲーションはできないのです。しかし、総務省の電波政策ビジョン懇談会は、このようなケースでもキャリア・アグリゲーションを認めるべきだという話は出ていまして、3周波数帯のキャリア・アグリゲーションとともに検討が進んでいます。
業界内の抵抗というのはありません。どのキャリアも、持っている周波数帯をフルに活かしていかないと厳しいことは承知しているので、電波の有効利用に対して反対意見は出ないんですよ。電波の割り当てが”ズルい”、”ズルくない”という議論で言えば、トータル○○MHzの割り当てがフェアなのか、の判断基準をどうするか。加入者あたり周波数が多い、少ないで判断すべきという意見、いやそうではない、実際に音声・データ端末として使っている端末の数で割り当て周波数を割って比較するべきだ、という意見など、そこにはいろいろ議論があります。が、キャリア・アグリゲーションを可能にする範囲を広げることに関しては、みんな前向きです。
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