なぜ参院自民党は揉めているのか 会長による幹事長"更迭劇"の舞台裏
目下、圧倒的な与党として君臨する自民党。衆議院議員定数480のうち294、参議院議員定数242のうち114の議席(一時的に離党している各院議長を除く)が、自民党で占められている。このうち、参院自民党の人事が、にわかに鳴動している。
異変は、内閣改造で露呈した。参院枠で入閣を求められた脇雅史参院自民党幹事長が、異例にもそれを拒否したのだ。
2012年12月に第二次安倍内閣が発足した時、参院からの入閣は林芳正農水相、山本一太特命担当相(沖縄および北方対策等)、森まさこ特命担当相(男女共同参画担当等)の3名だった。9月の内閣改造でも同じ人数が参院自民党から入閣すると見られていた。
しかし「本命」とされた橋本聖子氏はソチオリンピック閉幕式後の打ち上げでフィギュアスケートの高橋大輔選手にキスをした写真が週刊誌で掲載され、入閣の芽が潰れてしまう。参院からは安倍晋三首相に近く、拉致問題や領土問題に取り組んできた山谷えり子政審会長(当時)が入閣したが、その他は有村治子氏のみ。参院枠のポストは2になってしまった。ただし彼女たちを「女性枠」としてとらえるなら、「参院枠」は0とみることもできる。これでは参院の重みがない。入閣を拒否した脇氏に、党内で批判の声が相次いだ。
選挙区割りの変更案で確執
そもそも国会議員になったら、誰もが大臣を目指すものだが、なぜ脇氏は入閣を拒否したのか。理由は「1票の格差」是正に向けた参院の選挙制度改革に絡む、男同志の確執だった。
2013年9月に発足した参院選挙制度協議会の座長に、自民党幹事長の脇氏が就任した。2010年の参院選の格差は最大5倍にもなっており、最高裁は「違憲状態」とした上、立法措置を求めていた。
学識者や現職知事などから意見を聴取した後、今年4月25日に脇氏は「座長試案」を出す。有権者が少ない選挙区を隣接する選挙区と統合して11の「合区」を作り、定数減分を東京、神奈川、埼玉、愛知、兵庫、北海道に割り当てるものだった。これにより格差は1.83までに縮小することになる。
ところが自民党がこれに反対した。自民党にとって有利な1人区が少なくなってしまうからだ。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら