なぜ参院自民党は揉めているのか 会長による幹事長"更迭劇"の舞台裏
自民党流の根回しも行われた。脇氏の更迭についてはすでに8月28日、青木幹雄元参院自民党会長のもとに報告が届いている。議員バッヂを外しても、青木氏はいまだに参院と額賀派には絶対的な発言権を持っている。小渕優子氏が経産相として入閣したことについても、青木氏の意向が関与したと囁かれているほどだ。
その青木氏が、脇氏の幹事長更迭について了承した。ただしこの時は、脇氏の入閣が前提だった。しかし青木氏は「別の交渉」もしていたと言われている。役員ポストの数である。
実際にある額賀派の関係者はこう述べている。「我々は幹事長ポストを失ったが大丈夫。国対委員長ポストを確保している。さらに議院運営委員長ポストがほしい。これがもらえれば脇氏の更迭は問題なしだ」。
この頃、脇氏は最後の抵抗に出ていた。9月9日の役員会で溝手氏に会長辞任を求めるとともに、9月11日には参院選挙制度協議会に再度の「座長試案」を提出。合区の数を5に減らすとともに、最大格差を2.48までに拡大した。「党派や会派を離れ、一議員として、一国民として、一番ふさわしい案を考える」(産経新聞のインタビュー)と述べた脇氏にとっては、最大の譲歩といえた。
さらにその試案のコピーは、参院自民党議員の全事務所に配布された。それはまるで幹事長解任が決まっていた脇氏の遺言のように見えた。
崩れる鉄の結束
かつては鉄の結束を誇り、あの小泉純一郎首相でさえ切り込めなかった参院自民党。その強みの源泉は、青木氏や「参院の天皇」とも言われた村上正邦氏らが発揮したリーダーシップ、そして党本部から独立して有している金庫にあると言われている。果たしてそのDNAはいまだ健在なのだろうか。
「いや、そうではない」と自民党関係者は話す。「3年3カ月の間、野党を経験した自民党はかつての自民党ではない。参院の中でも若手などは、『おかしいことはおかしい』と言う人も出てきはじめている。そのような声を抑えられるほど、溝手氏は強いリーダーではない」。
いちおうは収まったかに見える「脇幹事長更迭劇」。だが今後、さらに大きな「第二幕」がないとも限らない。
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