HowよりWhyを聞くほうが話を引き出しやすい訳 インタビューのプロが明かす専門家取材の流儀

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関係性ができていないのに、上司が部下から話を引き出すテクニックなど、まずないと私は思います。

それこそ「隣に座る関係」ではないですが、上司が自分の未来のためにプラスの存在だと思えば、部下は自分からどんどんしゃべってくれるはずです。そのほうが自分にとっても、いいことだからです。

難しい話やネガティブな話の対処法

それでは難しい話やネガティブな話にはどのように対処すればいいでしょうか。

私は15年前に、ウェブサイトで科学者のインタビュー連載を担当していました。アンドロイド研究で知られる大阪大学教授の石黒浩さん、マサチューセッツ工科大学のテニュア(終身在職権)を取得されたタンジブル研究の石井裕さん、ロボットスーツ「HAL」を開発したサイバーダインの創業者兼CEOの山海嘉之さんなど、錚々たる顔ぶれに取材させていただいたのでした(後に『我らクレイジー★エンジニア主義』として書籍化)。

私は大学も商学部ですし、バリバリの文系です。理系の世界は、勉強もしていないし、まったく詳しくない。ところが、この科学者へのインタビュー連載は大変な支持を得たのでした。理由はシンプルで、誰にでも理解できるよう、書いたからです。

連載を引き受けるときに確認したのは、「専門家を相手にした連載ではないですね?」ということでした。専門家相手なら、私は適任ではない。専門家の「相場観」がまるでわからないからです。しかし、一般の人を相手にした記事ということであれば、問題ありません。私が理解できるレベルの話を書けばいいから。そしてそれを書いたら、「こんなにわかりやすい科学者インタビューは、かつてなかった!」と支持を得たのです。

このときに知ったのは、実は同じ理系といっても、例えば電気と機械ではまったく違うということでした。電気の人は機械のことをよく知らないし、機械の人は電気のことをよく知らない。文系の私からすれば、理系とひとくくりにしてしまっていましたが、領域が違えば知識はまるで違う。それこそ、理系でも別の領域であれば、文系の私と変わらないくらいの知識の人は少なくない、ということでした。

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