丹羽宇一郎・駐中国大使--早期に農業問題を片付け日中韓の共同市場実現を

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そうしたことを精査して、それでも競争力がないと判断するのなら、将来の(食糧安全保障に対する)保険料としてカネを出せばよい。関税を下げられないものは量も少ないわけだから、資金支援したらいい。政府は今、減反や農家の個別補償にカネを使っている。同じ1兆円なら、むしろ国際競争力をつけるために使うべき。国内農家を守るために使うのは、まったく方向が違う。

これからの日中韓は共同の市場を構築すべきだ。そのために関税をフリーにするだけではなく、守るべきものは守ればいい。たとえば、コメは開放せずに、各国ともに200%の関税をかけるという手法も考えうる。そうした方法論を、もう少し実務者段階で議論すべきだ。そうすれば、FTAは1年~1年半で実現できるとみている。中国と日本がFTAを締結したら、アメリカ、豪州とも話が一挙に進むだろう。

--中国側にも、日本の工業製品の輸入増に抵抗があるのでは。

中国の商品も、安いものを中心に日本に入ってきているから、必ずしも日本の輸出ばかりが増えるわけではないだろう。他国がどんどん中国市場に入っていく中、日中間だけにカベがあるようでは、日本はやっていけない。現段階では私の個人的な考えだが、FTA問題は国の政策として早期に取り上げてもらいたい。

日中両国にとってウィン・ウィンの関係を

--日中間には、東シナ海のガス田問題、尖閣諸島をめぐる領土問題などの懸案も残っています。

尖閣諸島は明治の初期から固有の領土であると日本政府は主張している。日中間に領土問題は存在していないという認識だ。

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