丹羽宇一郎・駐中国大使--早期に農業問題を片付け日中韓の共同市場実現を

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第二に、日中の国民がもっと多方面で接点を増やしていくようにしたい。スポーツ、文化などを通じて、日本のよさ、日本人のものの考えを中国の人に理解してもらえる機会をできるだけ多くつくりたい。たとえば日本、中国、台湾、韓国で野球のリーグをつくるとか。王貞治さんとも一度、話をしたいと思っている。

第三に、日中両国のトップ同士が信頼関係を持てる関係になること。それなくして、外交はうまくはいかない。

この三つにできるだけ早く取り組まないと、政治的にも経済的にも日本はどんどん沈没していく。国民の生活水準だって、あっという間に急落するだろう。今の駐中国大使は生易しい仕事ではない。宴会をやりに行くのではないから、北京には単身での赴任だ。一刻を争う問題がたくさんある、たいへんな時代だ。

--経済連携という点では、日中韓の自由貿易協定(FTA)締結が持論ですね。

日中韓の政府間で、勉強会をかれこれ10年ぐらいやっている。もう問題の所在はわかっている。あとは、いかにして実現するかだ。

日本の平均関税率はすでに相当に低い。これ以上、貿易のバリアを下げるとなれば、やはりコメ、砂糖など、農産物の一部が対象だ。日本国内の農業問題を片付ければ、日中韓FTAは実現できる。政治主導で解決策を決めるしかない。国内の農業問題とは、耕作地の6割ぐらいを占めるコメを開放するかどうかの問題だ。

この点、本当に日本のコメに競争力はないのか。人民元も高くなっているし、そう簡単に中国からコメは入ってこない。中国の富裕層は中国のコメを買わずに、日本のコメを買っている。競争力は価格だけではなく、安心、安全、品質のトータルで決まるわけで、日本のコメに競争力がない、とは必ずしもいえない。

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