彼の夢に「明るい未来」が見えない49歳女性の現実 未経験で起業。家も売った相手で大丈夫なのか

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元夫のきみひこは、ネガティブ発言が多く、テレビに映っているタレントや会社の人たちの揚げ足を取ったり、悪口を言ったりすることが多かったという。あるときあやこが、「どうしてそんなことを言うの。聞いていて気持ちよくないわ」と言うと、きみひこは涼しい顔で言った。

「僕が今こうやって言っていることが、相手に聞こえているわけじゃないし、ネットに匿名で誹謗中傷を書き込んでいる奴らよりも、よっぽどましでしょ」

その発言を聞いて、「根っこは、一緒じゃないの」と思ったそうだ。

その点、よしずみの発言には人に対していつも思いやりがあり、弱者の見方だったので、元夫とは正反対の性格に、会う度に惹かれていった。

以前、あやこは私にこんなことを言っていた。

「お金の使い方もきれいで、ケチケチしていないんですよ。元夫は、『ホテルのティーラウンジで、1杯1500円のコーヒーを飲むのは、馬鹿げている』という考えの人でしたが、よしずみさんは、『ゆったりとした空間で飲むコーヒーは、美味しいよね』って」

ポジティブだけれど夢見がちなところも

ただポジティブ思考ではあるのだが、その分どこか夢見がちなところもあった。

「あれもやりたい、これもやりたいという夢を語る。それが現実的ではないので、そこが少し心配でした。もしかしたら離婚も、そういう彼に元奥さまがついていけなくなったのかもしれませんね」

それだけに、「かねてからの夢だった仕事に、チャレンジしたい。起業したい」言われたときには、「私との結婚を考えるなら、地に足をつけて、今の仕事を地道に続けてほしい」と伝えたようだ。ところが、よしずみが選んだのは、地道な生活よりも、起業へのチャレンジだった。

結婚をしたら夫婦は運命共同体となる。「起業を半年で軌道に乗せる」と言ったよしずみの話が、あやこにはどうしても現実的だとは思えなかった。だから、同調できなかったし、待たされることで、自分が歳をとっていく不安も感じた。

最後に、あやこは私にこんなことを言った。

「彼の人生は、彼のもの。私と結婚するから夢をあきらめたとなると、きっと後悔すると思うんです。だったらつらいけれど、今回のご縁はなかったことにしたほうがいいかなって、自分を納得させました」

売れない芸人、役者、バンドマンに寄り添い、一緒に売れることを夢見る女性がいる。また、「起業をしたい」といいう男性に寄り添い支える女性もいるだろう。しかし、あやこはよしずみには寄り添えなかったし、彼もあやこよりも自分の夢を優先させた。

この2人には、ご縁がなかったということなのだろう。

鎌田 れい 仲人・ライター

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かまた れい / Rei Kamata

雑誌や書籍のライター歴は30年。得意分野は、恋愛、婚活、芸能、ドキュメントなど。タレントの写真集や単行本の企画構成も。『週刊女性』では「人間ドキュメント」や婚活関連の記事を担当。「鎌田絵里」のペンネームで、恋愛少女小説(講談社X文庫)を書いていたことも。婚活パーティーで知り合った夫との結婚生活は19年。双子の女の子の母。自らのお見合い経験を生かして結婚相談所を主宰する仲人でもある。公式サイトはコチラ

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