先月成婚退会をしたあやこ(49歳、仮名)から、LINEがきた。
「よしずみさん(50歳、仮名)とのご縁が破断になりました」
満面の笑みで、「幸せになります」と退会していった彼女に、何が起こったのか。ひとまず面談をすることに。
事務所にやってきたあやこは、面談ルームのソファに腰をかけ、沈んだ口調で話し始めた。
「お付き合いをしていたときから、『ずっと夢に描いていた仕事がある』という話は聞かされていたんです。『いつかは、それで起業したい』と。でも、起業するってそう簡単なことではないし、資本金もいる。お金をかけたところで、それが軌道に乗るかどうかはわからない。仮に軌道に乗ったとしても、そこまでには年月もかかる。だから『もしも私との結婚を選ぶなら、今の会社を辞めずに働き続けてほしい』と伝えていたんですね」
50歳という年齢は決して若くない。立ち上げた事業でもし借金を背負ってしまったら、老後に、それをずっと返していく生活になる。
彼の夢をじゃましたくない、けど…
「一旦は、『そうだね。僕はあやこさんとの生活が大切だし、結婚してあやこさんを路頭に迷わせたくないから、今の仕事は辞めないで、それを続けながら新しい事業にチャレンジできないか、そのやり方を考えてみるよ』と言っていたんです。ところが、先日お会いしたら、『もう会社には、辞表を出した』と言うんですね」
それだけでなく、新しい事業の準備のため、すでにかなりの額を使っていることも聞かされた。
「彼の夢を私がじゃましたくない。ただ、ひとこと相談があってもよかったと思うし、事後承諾を求められても、そこに同調することができませんでした」
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