すぐ「おなかが痛い」と小2娘が訴える本当の理由 児童精神科医が子育てに悩む親へ伝えたいこと

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愛情は不足していませんが伝わる形になっていないのかもしれません。
「もっともっと」と求めています。お子さんの体調不良は「心因反応」。ストレスが体の弱い部分にあらわれるのです。

体調不良の原因は、ストレスだと思います。「心因反応」というのですが、苦痛、不安、恐れ、つらさなど、自分では処理しきれないストレスに支配されると、その人の体の弱いところに反応が出てしまうのです。発疹、熱、下痢、便秘など、症状は十人十色です。

これは、「ストレスが大きいから、注意しなさいよ」という体からのサインで、大人にも子どもにも、いろんな程度であらわれるものです。多くの場合、原因は人間関係の中で生じるストレスです。もしかしたら、学校に行きたくない何かがあるのかもしれません。

愛情不足では決してない

友人との関係、先生との関係、あるいは何か別のストレスを感じている可能性もあります。けれどこの方は、「わたしの愛情不足が原因ではないか」と書いています。母親である自分に原因があると考えているのです。愛情があるから、愛情が深いから、そう思うのでしょう。まずは「愛情不足」ということを否定させてください。ただ、あふれる愛情がわが子に届く形になっているかについては、見直してほしいと思います。

この方のお子さんがそうだということではないのですが、友だちと親しく交われない子の中には、愛着関係の土台ができていないことが少なくありません。

「愛着」とは、特定の個人に抱く深い情緒的な結びつきで、ごく一部の例外を除けば、まずお母さんとの関係で築かれるものです。愛着のもとになるのは、「自分はこの人から無条件に愛されている」「この先に何があっても、一生愛される」という信頼感です。

この愛着関係を基盤にしながら、人は少しずつ他者との関係を築いていきます。きょうだい、親戚、友だち、先生、恋人……。しかし、親子の愛着関係を幼いうちにしっかりと築くことができなければ、社会における人間関係の成立が難しくなることもあります。

次ページ“母と子の愛着関係の土台をつくり直す”すべてはそこから始まります
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