スバル「アイサイト」はこんなにも徹底している 生みの親に聞く先進技術の歩みと将来の可能性

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柴田:よって、技術はこれからも進歩させなければならないと思っています。そのうえで、クルマを運転していただくドライバーさんたちの意識も含めて相乗効果をもたないと、なかなかこれ以上は事故を劇的に減らしていくのは厳しい。これが実情です。

現在、われわれのアイサイトではシンプルな追突事故は大きく防げるようになりましたが、複雑な事故形態にまで対応しきれていません。仮にコストや工数をたくさん掛けて技術を作り上げたとしても、残念ながら100%防ぐことが難しい。この先は、新たな技術を開発しても、分母である事故件数が減っているなかでの削減効果は徐々に目減りしていきます。

高い性能をもった先進安全技術の価値は誰もが認めるものの、お客様からすればクルマの販売価格に反映してしまうため、やはり普及しない。

難しい課題にこそブレークスルーの原点がある

――スバルが過去、ADA車両の販売で歩んだ道ですね。

柴田:そうです。ただ、それを世に送り出し続けなければ事故は減りません。まさにスパイラルです。よって、われわれができるのは徹底的に知能化を進めることです。難しい課題にこそブレークスルーの原点があるので、まずは知能化で徹底的にそこを詰めます。

ADAの追従モニター ディスプレイ(2003年)(画像:SUBARU)

その知能化にはAIを採り入れ、新たなブレークスルーを目指す。世の中にあるAI技術を右から左に持ってきて何ができるか……、ではなくてわれわれが徹底的にAIを駆使して判断し、そのうえで知能化した先進安全技術を作り出していく。過去、アイサイトの開発で体験してきた、“深いところに入っていく”ことを再度、行います。これを繰り返すことで次の道が見えてくると信じています。

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ものを見て考え、独創のアイデアを加えて作りだし、その結果を判断する。このプロセスは大切で、さらに新しいことへのリサーチも重要です。これはアイサイトづくりで行ってきた手法です。この先はSUBARU LabでAIに特化した開発手法を加えて、ステレオAIとして成し遂げたい。自問自答を繰り返しながら、新たな出口を探すことで、次へと突き抜けようとしています。

西村 直人 交通コメンテーター

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にしむら なおと / Naoto Nishimura

1972年1月東京都生まれ。WRカーやF1、さらには2輪界のF1と言われるMotoGPマシンでのサーキット走行をこなしつつ、4&2輪の草レースにも精力的に参戦中。また、大型トラックやバス、トレーラーの公道試乗も積極的に行うほか、ハイブリッド路線バスやハイブリッド電車など、物流や環境に関する取材を多数担当。日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)理事。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。(財)全日本交通安全協会 東京二輪車安全運転推進委員会 指導員。(協)日本イラストレーション協会(JILLA)監事。★Facebook「交通コメンテーター西村直人の日々

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