他人が理解しづらい「生理痛」軽減する3つの方法 生涯の月経回数がここ100年で4倍になっている

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月経のつらさを軽減する方法はさまざまありますが、今回は①痛みの軽減、②痛みの予防、③周期のコントロールに分けてお伝えしたいと思います。

まず①痛みの軽減ですが、すぐに月経痛による痛みを軽減したいときは、お腹や腰の下のほうを温めると効果的です。月経痛は、プロスタグランジンというホルモンの作用によって子宮が収縮するために起こります。このとき、子宮やその周囲が冷えて血流が悪いと子宮の動きも悪くなり、身体はより多くのプロスタグランジンを分泌することによって子宮収縮を促します。これによって子宮収縮がより強くなり、生理痛もよりひどくなるのです。

したがって、内臓である子宮を温めるために下腹部や腰にカイロや腹巻きをあてると効果的です。腰は一見子宮と関係がなさそうですが、腰とお尻の間には仙骨という骨盤を作っている骨があり、この部分を温めると骨盤内の臓器、すなわち子宮も温めることができるのです。

②痛みの予防は、筋肉量を増やして体内の熱産生(エネルギー代謝)を多くすることで、子宮が冷えにくい身体を作ること効果的です。通勤時にエスカレーターではなく階段を使う、室内でスクワット等のエクササイズをするなど運動習慣をつけましょう。なるべく冷たい飲食物の摂取を避けることも大切です。普段から続けることが難しくても、生理前に行うだけでも効果があります。

ピルを飲むことは特別なことではない

③周期のコントロールについては、3カ月以上生理が来ないことを「無月経」といいますが、この状態は不妊の原因になるだけでなく、骨粗しょう症や子宮体癌のリスクが高まります。背景にある疾患の治療も大切ですが、まずは生理を定期的に来させることが大切です。

代表的なコントロール方法としては、まずは婦人科を受診する必要がありますが、ピルの内服が挙げられます。これは、上記のような無月経の方だけでなく、出張や温泉旅行、大切な試験の日に月経が来ることを避けたい人にもぜひおすすめしたい方法です。ピルは、まだ避妊目的の薬というイメージが強いですが、医学的には月経周期のコントロールをする薬として有名です。自分が健康でいるために飲むのですから、ピルを飲むことは特別なことでも、恥ずかしがることでもありません。

また、吐き気や血栓ができるなどの副作用が心配という方もいらっしゃるかと思いますが、近年は薬の成分を抑えた低用量ピルも出てきており、誰もが気軽に、その人の月経に合ったオーダーメイド処方でピルを飲むことができるようになっています。

なお、月経不順はホルモン関連の疾患の場合もあるため、婦人科を受診していても原因がなかなかわからない場合は、内分泌科への受診を検討しましょう。

月経は、女性の数だけその種類や悩みがあるとされており、今回お話しした対策はほんの一握りですが、誰もが気軽に月経について相談したり、悩みを聞いたりしてお互いに適切なサポートができる社会になればと願っています。

上原 桃子 医師・産業医

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うえはら ももこ / Momoko Uehara

横浜市立大学卒。一般社団法人日本メンタルアップ支援機構理事。身体とこころの健康、未病の活動に尽力し、健康経営に関する医療系書籍の編集にも関わっている。医師と患者のコミュニケーションを医療関係者、患者双方の視点から見つめ直すことを課題とし、とくに働く女性のライフスタイルについて提案・貢献することを目指している。

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