先日、筆者はイタリアに行った。勤め先の大学の副学長として、国際交流を再開するためである。直接訪問しなくても、ほぼ毎日のように協定大学とのオンライン・ミィーテイングは行っている。しかし、オンラインでは隔靴掻痒、細かいところはわからない。それを知るには、コロナ禍、海外の大学ではどのようなコロナ対策をしているのかを、この目で確かめるしかない。そこで、入国に隔離規制のないイタリアを選んだのだ。
北のベルガモから南のカラブリアまで、ほぼイタリアを縦に横断した。大学というレベルでいえば、コロナ対策はかなり進んでいるということだ。2021年11月半ばは感染者がまだ少なかったこともあり、対面授業を行っていたのだが、入り口でのスマホに登録されたグリーン・パス(ワクチン証明パス)、教室内での学生間の距離、マスクの着用、対策はほぼ万全が期されていた。学生寮に関しても、一人部屋の徹底や、集会室の規制などで、感染リスクを抑えていた。
イタリアの大学内は感染リスクが少ない
結論から言えば、大学内できちんと生活している限り、感染リスクは少ないということだ。もちろん、大学外での状況も気になる。ワクチン証明などの徹底によって飲食での感染リスクを最小限にすることはできるが、不特定の交流があるわけで完全というわけではない。だからなるべくコロナ感染が落ち着くまで、寮と大学での生活をきちんと維持することだろう。
さて本論に入る。この2年間、日本の多くの大学では海外から留学生を受け入れておらず、また留学生を派遣していない。パンデミックということもあり、致し方のなかったことではある。勤め先の大学も、2020年3月の時点で派遣していた留学生を全員帰国させ、受け入れた留学生も早めに帰国させた。この早い決定については、批判もあったが、この決断は今ではよかったと思っている。
しかし、もっと大きな問題は、再開の時期の問題である。再開にも勇気と決断力が必要である。すでに2年間も国際交流が途絶えているのだが、これは日本にとってばかりでなく、世界にとって大きな問題である。とりわけ若い世代の国際交流は極めて重要なことである。感性が豊かで、何事も受け入れやすい時代に、ほかの世界を知ることは若者にとってとてもいい経験になるということである。
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