皮膚に粘着剤なしで貼れる超薄膜がやたら凄い訳 薄く丈夫で負担少ない電極の登場で何ができる?
この「プラスマイナスの偏り」は小さなものなので、ファンデルワールス力は他の結合に比べると非常に弱い結合です。ナノシートと皮膚のあいだに働く結合が、この弱い結合だからこそ、剥がすのも簡単で、皮膚を傷つけることがないのでしょう。
ちなみに、みなさんのお家にも必ずある食品用のラップ。お皿のふちにピタッと貼り付きますよね。これも、ファンデルワールス力が要因の1つなのですよ。接触する面積が大きいほど、ファンデルワールス力も広い範囲で働き、くっつきやすくなります。ガラスやプラスチックの器にはピタッと貼り付くラップも、表面に凹凸や隙間の多い木製の器には貼り付きませんよね。
他にもある! 貼り付けるデバイス‼
薄くて丈夫で皮膚への負担も少ない、この電極。今後はシートに無線回路や電源をのせ、測定項目も増やしていくとのことですが、実用化されたら、私たちの生活はどのように変わるのでしょうか。
1つ目は、皮膚に接触させるだけで指紋・静脈の撮像、脈波・動脈血酸素飽和度(以下SpO2)などの生体情報を計測できるシート型のイメージセンサーです。指紋や静脈は、すでに生体認証に利用されています。コロナ前、私が毎週のように通っていたゴルフ場でも、チェックインは静脈認証でした。このように、通常は「指紋だけ」「静脈だけ」の認証ですが、このセンサーを使えば両方可能なため、認証エラーが減るとのこと。
また、SpO2はコロナ禍、自宅療養中のご自身やご家族の状態把握に活用した方も多いのではないでしょうか。一時期、家庭用のパルスオキシメーターが品薄になっていましたよね。このように、生体情報だけでなく生体認証まで1枚のシートでできるとなれば、様々なシーンでの利用が期待できます。
そしてもう1つ。薄型で伸縮自在の皮膚に貼り付けるスキンディスプレイです。硬い素材(マイクロLEDなどの電子部品)と柔らかい素材(伸縮性のある配線)をゴムシートの上に混載させる独自の技術を開発し、薄型で伸縮自在なスキンディスプレイの試作に成功しています。厚みはたった2㎜。しかもフルカラー! 伸縮自在のため、人の動きを妨げることなく画像やメッセージを表示できるのです。現在、スマホの画面やアップルウォッチで確認しているメッセージを、手の甲に貼り付けたディスプレイで確認する日が来るかもしれませんよ。
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