皮膚に粘着剤なしで貼れる超薄膜がやたら凄い訳 薄く丈夫で負担少ない電極の登場で何ができる?

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小
肌にくっつくデバイスが超高齢化社会を救うかもしれません(写真:NORi/PIXTA)
みなさんは科学や科学系のニュースを楽しんで読むことができていますか?
きっと、多くの人にとって「読んでも難しくてわからない」というのが本当のところではないでしょうか? 最先端の研究に関する情報はニュース番組でも軽く流される程度。きちんと解説がつくのはノーベル賞を受賞したときくらいのものです。
そんな難しい化学の話を大手予備校で化学を担当する人気講師がかみ砕いて伝えている『「家飲みビール」はなぜ美味しくなったのか? - コテコテ文系も学べる日本発の『最先端技術』』より一部抜粋、再構成してお届けします。

皮膚に貼り付ける電極??

『極薄シートで心電図測定 皮膚に張り付け1週間 東大』
(2021/9/7時事通信社)
ごく薄く、自然に皮膚に張り付くシートに金箔を電極としてコーティングし、心電図を1週間測定できたと、東京大学大学院工学系研究科の横田知之准教授や染谷隆夫教授らの研究チームが7日発表した。伸縮性や耐久性、通気性があり、蒸れたりかぶれたりしにくいのが特徴。論文は米科学アカデミー紀要に掲載される。横田准教授によると、今後、シートに無線回路や電源を載せるほか、温度や圧力など測定項目を増やし、体に装着して病気や体調不良を早期発見できる装置への応用を目指すという。

□薄くて丈夫なナノシートで粘着剤なしでも皮膚に貼り付く電極が誕生

□1週間後も貼り付いたままの理由は「ファンデルワールス力」にあり

□皮膚に貼り付けるフルカラーディスプレイの開発も進んでいる!


金色に光るそれは、やわらかく、世界最薄・最軽量。厚さはなんと、170nm(1nmは1mの10億分の1)以下。粘着剤を使わなくてもピタリと皮膚に貼り付き、パッと見、金色のタトゥシールかのよう。しかし、タトゥシールに比べてあまりに薄く、貼り付けた状態でも皮膚のキメがはっきりとわかる。

その薄さから、通気性に優れており本来の皮膚呼吸が可能。汗による炎症反応やムレの心配もありません。にもかかわらず、伸縮性・機械的耐久性も充分。皮膚の伸縮や日常生活における「こすれ」などに強く、連続した使用にも耐えられるのです。

次ページ何に使うの?
関連記事
トピックボードAD
ビジネスの人気記事