皮膚に粘着剤なしで貼れる超薄膜がやたら凄い訳 薄く丈夫で負担少ない電極の登場で何ができる?

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みなさん、これ、なんだと思いますか? その正体は、日本の研究チームにより開発された「皮膚に貼り付ける電極」。皮膚に密着することで高精度な生体信号を計測できるのです。例えば、心電図。この電極を使って、精度を保ったまま1週間連続して心電図を計測することに成功しています。

「で? この電極、健康な僕に何か影響ある?」と思ったあなた。病気になってどうするか、ではなく、病気にならないようセルフケアができたら素敵ですよね。病気や体調不良の早期発見の目的で、未来では健康な人でもみんな、この電極のようなスキンセンサーやスキンディスプレイを貼り付けて生活しているかもしれませんよ。SF映画みたいで、ちょっとワクワクしませんか?

そして、この技術。超高齢化社会が抱える問題を解決できる可能性だって秘めているのです。親の介護が必要になるとき、歳を重ねて自身が要介護になるときが、いつかやってきます。他人事ではありませんよね。

スキンセンサーで測定できる生体情報のデータは、人間に何を教えてくれるのでしょうか。スキンエレクトロニクスは、未来をどう変えていくのでしょうか。一緒に未来の世界を覗いてみましょう。

薄いのに高耐久性??

この皮膚に貼り付ける電極。厚さ100nm以下の「ナノシート」に薄膜金をコーティングしてできているのですが、貼り付けても皮膚のキメがわかるほどの薄さでありながら、伸縮性・高耐久性を兼ね備えているのはなぜでしょうか。

その秘密は「ナノシート」にあります。このナノシートは、シリコーンゴムの一種である「ジメチルポリシロキサン」という柔らかい素材の上に、弾性を持つポリウレタンのナノファイバーを数層重ねることで強化し、作られているのです。

東京大学のホームページによると、ナノシートが支えることができる液体の重さは、なんと、自身の重さの7万9000倍! そして、繰り返しの伸縮(40%伸ばすを1000回)における劣化もわずか! その薄さからは想像できないくらい、丈夫なのです。

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