永守重信「理想と夢なくしては成しとげられない」

日本電産創業者が説く生き方・経営・運のつかみ方

一代で“兆円企業”を育て上げたカリスマ経営者が23年ぶりの著書で伝えたいこととは?(撮影:ヒラオカスタジオ)
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永守重信氏が率いる日本電産は創業からおよそ半世紀、売上高1兆6000億円以上、世界に300を超えるグループ企業と従業員11万人以上を抱える世界一の総合モーターメーカーだ。
1973年に自宅の六畳間で、たった4人で立ち上げた会社を「〝兆円企業〟をめざす」「精密小型モータの分野で世界一になる」との宣言どおりに発展させた永守氏は生き方や経営についてどのような考えをもっているのか。
11月に23年ぶりの書き下ろし著書である『成しとげる力』(サンマーク出版)を上梓した永守氏に話を聞いた。前後編にわたってお届けする。

いろんなことを捨ててやることを絞り込んできた

――『成しとげる力』のタイトルのように永守会長は多くの目標を実現しました。

成しとげるというのは、自分の抱いている夢を実現させることだ。そして物事を成しとげるには、ものすごい苦労の道を行く必要がある。世界一の山、エベレストに登ろうと思ったら、日頃からものすごく訓練していくしかない。

私がどういう生活をしてきたかといえば、いろんなことを捨ててやることを絞り込んできた。例えば「会社も大きくしたい」「ゴルフもしたい」「飲み屋も行きたい」などたくさん考えてもやることはできない。健康であるためには大酒を飲むことやたばこを吸うのも良くない。5つやりたいことあったら、4つは捨てないといけない。何を優先するか絞り込む必要がある。

――やりたいことを絞り込むことや夢を目指して歩み出すのはかなり勇気がいることです。力の源泉は何でしょうか?

やはり理想と夢と希望があることだ。

私は28歳で独立して社長になった。社長になろうという最初の動機は子どもの頃に友人にお金持ちの家の子どもがいて、その子の家に行くと彼らはおいしいものを食べていた。私は貧しく汚い服を着ているのに、友人はステーキやチーズケーキを食べて、詰襟の服を着ていた。「お父さんは何しているの?」と聞いたら「社長だ」と答えてくれた。そこで「将来は社長になる」という思いが芽生えた。

その後、「君のお父さんに会わせてほしい」とその友人にお願いして、社長を務めているというお父さんに会って話を聞くことができた。彼はいかに「簡単じゃないか」という、社長としての苦労を教えてくれた。荷車を引いていた昔の写真を見せてもらいながら「よっぽど今からよく頑張っていかないと無理だぞ」と。

そういう苦労をあまり知らずに簡単に独立する人もいるが、会社が大きくなってこない。それは基礎ができてないからだ。

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