永守重信「理想と夢なくしては成しとげられない」 日本電産創業者が説く生き方・経営・運のつかみ方

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私は中学、高校にいたときから自分は将来独立したいと人生計画を作っていた。逆に言えば、自分の将来の姿が見えているわけだ。働いて独立するんだから別に一流大学に入る必要はないという考えがあった。そして会社を創業したときに社員3人に「1兆円企業をつくる」と訓示して、1人が「社長、1億円の間違いなんじゃないですか?」と聞かれたぐらいびっくりされた。それも50年後を目標にしていたが、41年で実現した。

永守重信(ながもり・しげのぶ)/日本電産会長 創業者、京都先端科学大学理事長。1944年京都生まれ。職業訓練大学校(現・職業能力開発総合大学校)電気科卒業。73年、28歳で従業員3名の日本電産株式会社を設立し、代表取締役社長に就任。80年代から国内外で積極的なM&A戦略を展開し、精密小型から超大型までのあらゆるモーターとその周辺機器を網羅する「世界No.1のモーターメーカー」に育て上げた。代表取締役会長兼社長(CEO)、代表取締役会長(CEO)を経て、2021年より代表取締役会長。2014年、公益財団法人永守財団を設立、理事長に就任。また18年には京都先端科学大学を運営する学校法人永守学園理事長に就任(撮影:ヒラオカスタジオ)

――永守さんが23年ぶりに上梓した著書『成しとげる力』のなかでは先輩経営者としてオムロン創業者の立石一真氏や京セラ創業者の稲盛和夫氏の名前を挙げています。永守さんも彼らから学んだのでしょうか。

彼らは完全な狼だ。学ぶというより、最初は真似をして学んでいった。「この場合はどうしたらいいか」と聞いても教えてくれない。「考えてこい」と言ってきて、私が「どういう方法でやるのか決めた」と話せば、「それやったらいいだろうくらいは言うよ、でも答えは教えられない」と。

だから日本電産でも部下や従業員に「まずは真似しろ」と言っている。プライドがあって真似しない人がいるからだ。

日本企業の99.9%が三低企業という低成長、低株価、低収益で営業利益5%以下のようなところだ。一方で私が「3K企業」と呼ぶ高成長、高収益、高株価の企業が日本の時価総額ランキング30位以内に入っている場合もある。よく「永守さんは経営幹部の首を切っている」と言われるが、切っているのではなくついてこられないだけだ。学んできた人が上に来ているわけで、「一生懸命学べ」と伝えている。

リーダーは狼になれ

――経営者やリーダーは夢が必要だということですが、いちばんになれるリーダーの条件は?

リーダーは狼にならないといけない。リーダーは人を引っ張り、たくさん集め、自分の考えているとおりに動かせることが基本だ。部下は全員が羊でも、トップが狼であれば勝てる。

それも自らが率先して集団の先頭に立っていかなければいけない。歴史においても第2次世界大戦中にアメリカの戦車部隊を率いたジョージ・パットン将軍はいつも先頭に立った。日露戦争中の激戦、二〇三高地の戦いでは乃木希典将軍は前線を知らずにずっと後方で指揮をしていたが、児玉源太郎将軍は戦場の前線まで行って指揮して勝ったという。

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