ビートルズの「3人目」決定までのもどかしい経緯 『ジョン・レノン 最後の3日間』Chapter4
ジョンとポール、ギターを弾く日々
いまのほうがずっと若いんだ
──「マイ・バック・ページズ〈My Back Pages〉」
次にジョンとポールが取り組んだのは、バディ・ホリーの「ザットル・ビー・ザ・デイ(That’ll Be the Day)」だった。イントロのコードを解き明かすのだ。
2人はもう何週間も、この曲にかかりきりだった。
文字どおり、ひざを突き合わせるようにして向かい合わせにいすに腰掛け、お互いがギターを弾く様子をじっと見つめる。左利きのポールと右利きのジョンが向かい合うと、まるで「だれかが鏡を掲げているみたい」だった。
ジョンは、めったに学校の授業に出なかった。そして、たまに出席すると反抗的な態度でずけずけとものを言い、何かと議論をふっかけては、強情な姿勢を崩さなかった。
「僕が攻撃的だったのは、人気者になりたかったからだ」と、ジョンはのちに打ち明けている。
「リーダーになりたかった。みんなが僕の言うとおりに動いて、僕の冗談に笑い、僕を親分扱いすること。それが望みだった」
リバプール・カレッジ・オブ・アートでは、ジョンに好意的な同級生や教師もいれば、毛嫌いする者もいた。だが、ジョンを無視する者は1人もいなかった。それでも、ジョンがいちばん生き生きとするのは、だれもいないポールの家で、2人で「目と目を見合わせながらのセッション」をするときだった。