ビートルズ、2人が夜の街で出会った運命の瞬間 「ジョン・レノン 最後の3日間」Chapter1

彼って、ちょっときみや僕に似てないかい?
――「ひとりぼっちのあいつ〈Nowhere Man〉」
「お前もきっと、ジョンのことが気に入るよ」
ポール・マッカートニーの友人、アイヴァン・ヴォーンは言った。
「すごいやつなんだ」
ポールも、ジョン・レノンのことを知ってはいた。といっても、遠くから見かけたことがある、という程度だ。
ジョンもポールと同じアレートン~ウールトン路線のバスで通学していたが、彼は年上でもうすぐ17歳だったし、言葉を交わしたことは一度もなかった。
その日、ジョンは自分のバンドであるザ・クオリーメンを率いてセント・ピーターズ教会の催しで歌うことになっていて、15歳のアイヴァンとポールは、それを聞くために自転車で駆けつけたのだ。
といっても演奏を聞きたがっていたのはアイヴァンで、ポールのお目当ては女の子だった。