ビートルズ、2人が夜の街で出会った運命の瞬間 「ジョン・レノン 最後の3日間」Chapter1
エミー賞9度受賞のほか、エドガー賞、米国人文科学勲章、米国文学界奉仕功労賞を受賞している米国でも有数のストーリーテラーの名手ジェイムズ・パタースン。
彼がポール・マッカートニーを始めとする関係者への独占インタビューを盛り込み、ビートルズ結成60周年、解散50周年、ジョン・レノン射殺から40年の節目であった昨年、満を持して上梓したのが、ニューヨークタイムズベストセラーにもなった『The Last Days of John Lennon』でした。
今回はその翻訳書『ジョン・レノン 最後の3日間』の中から、Chapter1・4・11を丸ごと、東洋経済オンライン限定の試し読みとして3日連続・計3回に分けてお届けします。
彼って、ちょっときみや僕に似てないかい?
――「ひとりぼっちのあいつ〈Nowhere Man〉」
「お前もきっと、ジョンのことが気に入るよ」
ポール・マッカートニーの友人、アイヴァン・ヴォーンは言った。
「すごいやつなんだ」
ポールも、ジョン・レノンのことを知ってはいた。といっても、遠くから見かけたことがある、という程度だ。
ジョンもポールと同じアレートン~ウールトン路線のバスで通学していたが、彼は年上でもうすぐ17歳だったし、言葉を交わしたことは一度もなかった。
その日、ジョンは自分のバンドであるザ・クオリーメンを率いてセント・ピーターズ教会の催しで歌うことになっていて、15歳のアイヴァンとポールは、それを聞くために自転車で駆けつけたのだ。
といっても演奏を聞きたがっていたのはアイヴァンで、ポールのお目当ては女の子だった。
トピックボードAD
有料会員限定記事
ライフの人気記事