ビートルズの「3人目」決定までのもどかしい経緯 『ジョン・レノン 最後の3日間』Chapter4
ポールは最初から話し始めた。
「ギターを持って座るんだ。ピアノでも、どっちでもいい。そして手始めに、メロディーを探して、コードの組み合わせやフレーズ、言葉の連なりなんかを見つけていくんだ」
ジョンはその創作プロセスに自分も参加したい、と感じた。だがすぐに、曲を書くのは簡単ではないと痛感することになった。
2人の最初の共作である「トゥー・バッド・アバウト・ソロウズ(Too Bad About Sorrows)」は未完成のまま終わり、続く「ジャスト・ファン(Just Fun)」も同様だった。
次に2人が書いた「ビコーズ・アイ・ノウ・ユー・ラブ・ミー・ソー(Because I Know You Love Me So)」は、バディ・ホリー風の一曲になった。
2人はすでに、ハーモニーをものにしつつあった。
ポールは、さっそく次の曲を書き始めようとノートをめくり、空白のページのいちばん上にこう書き込んだ。
「レノン=マッカートニーによる次のオリジナル曲」
ジョージ・ハリスンとの出会い
ポールはジョンに、「僕の友だちに、『ローンチー(Raunchy)』を弾けるやつがいるんだ」と話した。
ビル・ジャスティスの「ローンチー」は、そのころアメリカでヒットしていた難しいインストゥルメンタル曲だ。
この曲を弾けるということは、かなり腕のいいギタリストであることを意味する。
「だれだ?」
「ジョージ・ハリスンだよ」
そう。小さな(リトル)ジョージ・ハリスンだ。
ジョンはジョージに会ったことがあった。もっさりした髪型の体の小さな少年で、年はまだ14歳。ポールより8カ月年下で、リバプール・インスティチュートでは1学年下だ。
それでも、ポールはジョージのことをジョンに売り込み続けた。ギターがうまいだけじゃなく、ジョージはクールなんだ、とポールは説明した。
しかも、服装もカッコよかった。彼はときに、大人たちを怒らせるためだけにとんでもなくしゃれた格好をすることもあった。