いい大学に入り、いい会社に入っても、一生安泰の保証はない。これからの時代は、社会に出た後にどんな努力をするかで将来が決まる。この連載では、「学歴なし、コネなし、カネなし」で世の中を渡り歩いてきた安井元康・経営共創基盤(IGPI)ディレクターが、悩めるビジネスパーソンからのキャリア相談に、本当に役立つ実践的なアドバイスをしていく。
※安井さんへのキャリア相談は、こちらまでお送りください。
資格取得は不安の表れ
自分に自信が持てない。これは仕事だけでなく、人生を考えるうえでも非常に切実な問題だと思います。
確かに、打ち合わせで活発に発言する人や、何事にも自信を持って取り組んでいる人を見ると、自分もああなりたいと思うものですよね。
そして、Aさんは資格取得を考えるなど、今の状況を抜け出すべく試行錯誤されているわけですが、まず「資格取得」と「自信を持てるか否か」とはまったく無関係と断言します。むしろ資格取得は、不安の表れでしかありません。法的に有資格者でないと従事できない仕事をしたいから、というケースは別として、ある業務において確固たる実績と自信があれば、何も資格という「自己満足免許」は必要ないと思います。
私自身もかつていろいろと資格を取りましたが、目的はふたつでした。ひとつは、誰も何も教えてくれないベンチャーという環境において、自己流でやっている仕事を補完し、一般論の勉強をしたかったから。もうひとつは、20代でそれなりの立場に立ったがゆえの「ハク付け」です。
両方に共通するのは、労働市場における自分の立ち位置に「自信がなかったから」。世間的にわかりやすい資格を取ったというだけです。
当時、仕事の経験そのものには自信がありましたが、労働市場における世間一般というものを、十分に理解していたわけではありませんでした。そこで、資格そのものは、単に労働市場における自分のポジションを探るための自己満足のツールと割り切っていました。その後も「こんな資格を持っています」とアピールしたことは一度もありません。
むしろ20代後半以降の人が、実務経験ではなく、保有資格を全面にアピールせざるをえない状況は、経験不足の露呈という意味でもアウトだと思います。
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