中野 森田健作のようなテンションは時代遅れだと。
藤野 松岡修造は完全にネタですしね。ただ、渋澤さんが言っているように、意識を高く持っている人の絶対数が増えているというのは、悪い話ではありません。
中野 長期投資家も少しずつではありますが、増えていますしね。
なぜマクロは不調なのに、株価はそこそこ堅調なのか?
藤野 最近、ちょっと不思議に思っていたのですが、さっきも言ったようにマクロ経済は不調でしょ。でも、株価は堅調なんですよね。僕は昔から、世の中全体の動きと株価はニアリー・イコールだと思っていたのですが、最近ちょっと違うと思っているのです。でかい世の中全体のなかにおいて、株式市場はその一部に過ぎない。で、株式市場の方は、JPX日経400のようなインデックスが誕生して、ROEを重視した経営が注目されるようになり、企業の資本効率を上げるための努力を始めました。それによって、株式市場そのものは効率化されていくのだと思いますが、その過程において、株式市場外に物凄い外部不経済をまき散らしているのではないかと思うようになったのです。
渋澤 上場企業が経営の効率化を上げるのは当然のことです。リストラを行えば、その子会社、孫会社や取引先に悪影響が及んで倒産する場合もある。これは、経済社会の全体最適の側面では新陳代謝を高めることなので、悪いことではない。
しかし、労働市場の流動性が乏しい経済社会では、失業者があふれる。あるいは製造コストを下げるために海外で生産する一方で、世界の成長を国内に取り組む意識を高めないと、日本の雇用が失われて、経済が失速してしまうというような話ですね。
藤野 そうです。で、もし雇用が失われれば、今度はそれが社会保障費負担の増大という形で跳ね返ってくる。企業と株式市場はどんどん効率化しているのだけれども、社会全体で見ると、非常に非効率的な社会が出来ているという気がするんですよね。だから、「マーケット=世の中全体」ではないということです。
渋澤 まあ上場企業の数は3600社くらいですが、非上場企業も含めれば、日本企業の数って何万にもなるじゃないですか。そう考えると、株式市場の動向イコール経済全体の動向という連想は正しくないですね。
中野 動く人がいる一方で、動かない人がいるのと同じで、なかなか一律には動いてくれないんですよね。動かない人はテコでも動かない。だから、株式市場が良くても、マクロ経済はなかなか浮揚してくれない。
藤野 ミクロはいいけど、マクロは悪い。でね、テコでも動かない人たちというのは、失望最小化戦略が生き様につながっているから、非常にやっかいです。
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