日本の多くのメディアは「オスプレイは危険だ」と情緒的な記事で読者を煽ることが多いが、上記のようなオスプレイの飛行特性を解説・分析した記事を目にすることはない。具体的な問題点を示すことなく情緒で語るのは、ジャーナリズムではない。
オスプレイにも多くの利点がある。重要な点は、新しい機体だけにその利点、欠点を把握し、運用構想を練るには時間がかかるということだ。だが防衛省がオスプレイの研究に本格的に予算を付け、着手したのは本年の4月からであり、僅か数カ月の間にそのような時間があったとは思えない。
オスプレイは1機120億円
もうひとつの問題はコストだ。陸自の内部資料によると1機あたりの調達予定コストは120億円と見積もられている。
オスプレイのペイロード(積載重量)は最大4.5トン、24名の兵員が搭乗可能だ。対して陸自の現行の大型ヘリ、CH-47JA(ライセンス品)はペイロード約11トン、人員55名を輸送できる。しかも調達単価は約60億円だ。米軍のCH-47は最新型のF型の場合、さらに安く、約39億円である。つまり現行機種であればペイロードはオスプレイの約2倍もありながら、コストは半分(米国製ならば3分の1~4分の1)で済む計算になる。
CH-47JAの航続距離はオスプレイよりかなり短いが、これは米軍のように空中給油機能を付加すれば解決する。空自はC-130H輸送機を16機保有しており、うち1機に空中給油機能が付加されている(来年度にもう1機分の改修予算を要求)。空中給油機能を搭載したC-130Hを増やせば、かなりのヘリに給油が可能である。C-130Hへの空中給油能力付加にかかるコストは1機あたり14億円である。
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