防衛省内部ではグローバル・ホークの採用は規定路線で覆すのは難しいので、これを補完するという名目で外国製のMALE型のUAVを導入するプランも存在する。これはイスラエル・エアロスペース・インダストリーズ(IAI)のヘロンなど、海外のUAVに国産のミッションシステムやソフトウェアを採用するというもので、これを輸出しようという構想も存在する。であればグローバル・ホークの採用自体を再検討するべきではないだろうか。
筆者の取材する限りグローバル・ホークの導入決定に先立って、MALE型UAVなどの導入や他のアセットとの兼ね合いや運用などが考慮・検討さなされた形跡はなく、はじめにグローバル・ホーク導入ありきで、話が進められてきた。
政治による濫費を防ぐべき
グローバル・ホーク、オスプレイ、AAV7の3つの米国製新型装備に共通しているのは、自衛隊の現場では誰も欲しがっていない、ということだ。適切な評価も検証もせず、運用も不明瞭なままに中期防で採用が決定され、あたかもアリバイ作りのために今年度予算で評価・研究用の予算が計上されている。しかもその評価・試験の期間は年度の始まった4月から僅か数カ月しか経過していない。
繰り返しになるが、候補を決定し、財務省と調達数、予算額をすり合わせおくべき概算要求において、候補も、調達数も、予算額も決めていない。これが明日にでも中国と開戦、というような切迫した状況であれば許されるかもしれないが、そのような事態ではないだろう。何をそんなに急ぐ必要があるというのだろうか。
おそらくは安倍政権が防衛省に迅速な調達を押し付けたのだろうが、中期防の予算でこれらの極めて高額な装備を予定通り調達するのは不可能に近い。これまでも中期防に示された「買い物リスト」がすべて消化された例はない。
必要性が怪しく、調達コストだけではなく、維持費も高価な米国製を大量に導入すれば、本来必要な装備の調達や維持費・訓練費その他の予算が喰われることなる。それは自衛隊の弱体化を意味する。
あえて厳しい言い方をすると、今行われているのは文民統制では無く、政治による防衛予算の濫費である。そこまでして米国のご機嫌を取らなければならない理由でもあるのだろうか。国防は国の存在の根幹である。有権者はもっと防衛費の使い方に目を向けるべきだ。
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