三菱商事社長が激白「2兆円」巨額投資の使い道 「エネルギー激変期」に総合商社の雄が大勝負

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脱炭素の激動を勝ち残る企業はどこだ(デザイン:小林由依)
総合商社大手の三菱商事は10月18日、温室効果ガス(GHG)排出量を2050年に実質ゼロにする方針を公表。あわせてエネルギートランスフォーメーション(EX)関連投資へ2030年までに2兆円を投じる方針を明らかにした。
現在は世界的に脱炭素が叫ばれ、再生可能エネルギーの普及が進む、まさに「エネルギーの移行期」だ。三菱商事にとっても再エネの導入拡大や水素・アンモニア事業への投資など、脱炭素社会を見据えたビジネスモデルへ転換させていくことは喫緊の課題となっている。
一方、足元では急速な再エネの普及が電力供給の不安定さを誘発する一因となり、天然ガスや石炭など化石燃料の価格高騰につながった。一足飛びに脱炭素を急げば、エネルギー価格の高騰や電力不足を招きかねない事態になっている。
『週刊東洋経済』11月22日発売号では「エネルギー危機が来る」を特集。世界で広まる混乱の最前線を追い、資源小国である日本がこれから直面する課題について迫っている。
資源の安定供給に深く携わってきた商社トップは、現在のエネルギー市場の激変をどう見るか。三菱商事の垣内威彦社長を直撃した。

異常なのは天然ガス価格

――世界的に資源価格が高騰しています。

『週刊東洋経済』11月22日発売号の特集は「エネルギー危機が来る」です。書影をクリックするとアマゾンのサイトにジャンプします。紙版はこちら、電子版はこちら

 原油価格は1バレル=60~70ドル前後が妥当な水準だ。(足元の)80ドル前後は決しておかしなレベルではない。

いま異例の価格をつけているのは天然ガスだ。異常気象の影響を受けて、欧州と中国が大量に天然ガスを買っている。

重要なのは、現在のようなエネルギーの移行期には需給のバランスが取りにくくなるということだ。世界的に再エネの比率が明らかに増えてきている。再エネは天候によって出力が変動する電源で、猛暑や厳冬といった事情で需要が変化すれば、需給が不安定になりやすい。

その結果、資源、電力価格の上昇につながる。これは企業にとっては大きな問題だ。エネルギーは最も基礎的な素材だから、エネルギー価格が2倍、3倍と上がってしまえば事業の採算をとりづらくなってしまう。

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