三菱商事社長が激白「2兆円」巨額投資の使い道 「エネルギー激変期」に総合商社の雄が大勝負
――エネルギー移行期に商社が果たす役割は?
移行期の局面で、エネルギーを安定供給するためには天然ガスやLNG(液化天然ガス)を活用するほかない。特に日本ではそうだ。
(脱化石燃料の)流れに逆行するようだが、われわれは局面に応じてLNGの増産や再投資をする覚悟があると、10月に公表した「カーボンニュートラル社会へのロードマップ」の中で示した。エネルギーの安定供給に必要ならばこそこそ黙って投資するのではなく、腹を括って実行しようと決断した。
長期で見たときに究極のエネルギーは何かというと、水素やアンモニアだろう。ただ、当面はコスト上の問題や安定供給を考えるとCO2(二酸化炭素)を分離・回収した上で、天然ガスから比較的安価なブルー水素・ブルーアンモニアが製造されることになる。
「半歩先」を予測してきた
どちらも元になる素材は天然ガスだ。つまり、天然ガスは繋ぎのエネルギーとして、長期にわたって生き残る。そんな宿命を背負った燃料になるだろう。
やがては(生成時にCO2を排出しない)グリーン水素があるはずだが、イノベーションを起こさないと実現は難しい。2030年までの話と2050年の話をするのでは大違いだ。
――社内でも議論があったのではないでしょうか?
ロードマップの策定に当たっては、社会の変化に対して三菱商事がどう対応するべきかを議論した。グループ(部門)の壁を越えて議論することが重要だ。社長就任以来、組織がたこつぼ化しないようにと、ずっと心掛けてきた。
2年ほど前から天然ガス、石油化学ソリューション、電力ソリューションの3グループを中心に議論を重ねてきた。このロードマップをしっかり理解し、全社員が一丸となって前に進んでいかなければならない。
当社が今日までやって来られたのは将来を予測し、半歩先を歩んできたからだ。例えば、かつて(1969年に)東京ガスとともに日本へ初めてLNGを導入したときも半歩先を歩むという姿勢があったからこそ、上手くいったのだと思う。外部環境や価値観の変化といった難しい局面をこれまで何度も乗り越えてきた。そのことを忘れてはいけない。
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