三井物産vs伊藤忠、純益6000億円台めぐる攻防戦 資源高で業績を上方修正、非資源事業も回復

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三井物産と伊藤忠商事が「商社トップ」の座をめぐって争っている(撮影:左は筆者、右は梅谷秀司)

鉄鉱石や原油価格などの資源高を追い風に、三井物産と伊藤忠商事による「商社トップ争い」が激化している。

三井物産は8月3日に2021年4月~6月期決算を発表し、2022年3月期通期の純利益予想を従来の4600億円から6400億円へ大きく引き上げた。上方修正額の1800億円のうち、金属資源セグメントが1600億円、エネルギーセグメントが200億円、いずれも資源関連事業が貢献した。

「資源商社」と呼ばれてきた三井物産はこれまで、全社利益の過半を資源関連事業でたたき出してきた。同社にとって資源高がいかにプラスに影響するかが、今回の業績修正で改めて鮮明になった格好だ。

非資源事業にも追い風

特に大きな押し上げ要因となるのが鉄鉱石だ。原油、銅などあらゆる資源価格が上昇している中、鉄鉱石は中国の旺盛な需要を反映して、2021年4月~6月期は前年同期と比べて約2倍に価格が上昇した。

三井物産は期初時点で、鉄鉱石価格が年度末にかけて徐々に下落していくと見ていたが、4月以降に急上昇したため、業績予想を大きく上方修正した。同社の内田貴和CFO(最高財務責任者)は「(鉄鉱石価格について)先行きの見通しを変えたわけではない」と、楽観論で業績見通しを増額したのではないと強調する。

非資源事業も好調だ。北米での自動車・商用車販売や化学品事業などが順調で、医療関連事業も回復途上にある。同社は2019年3月、マレーシアやシンガポールで病院運営事業を行うアジア最大の民間病院グループ「IHHヘルスケア」に約2300億円を追加出資し、筆頭株主となった。

新型コロナウイルスの感染拡大の影響で医療ツーリズム事業は低迷しているが、通常診療の稼働率上昇や集中購買などのコスト低減策が奏功し、業績は「前期に比べて急速に回復している」(内田CFO)。

次ページさらなる業績上方修正に含み
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