三井物産vs伊藤忠、純益6000億円台めぐる攻防戦 資源高で業績を上方修正、非資源事業も回復

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伊藤忠は5月に公表した新中期経営計画(2022年3月期~2024年3月期)で、純利益6000億円の達成を目指している。このままいけば、中計の利益目標を初年度に早くも達成することになりそうだ。

生活消費分野に強い伊藤忠は、市況高の恩恵でパルプ事業や北米建材関連事業が快調だ。2020年夏のTOB(株式公開買い付け)で約5200億円を投じた子会社のファミリーマートも業績は回復しつつある。

都市圏への出店が多く、前期はコロナ影響を大きく受け業績は振るわなかったが、今期は品揃え強化などが奏功している。台湾ファミリーマート株式の一部売却益約295億円も利益を押し上げた。

傘下企業の黒字比率は8割に

伊藤忠が展開する資源事業の中心は鉄鉱石であるため、伊藤忠も資源高の恩恵を受けた。2021年4月~6月期の純利益2675億円のうち、金属事業は約3割を占めた。ただ、鉄鉱石価格の先行きについては「高止まりする可能性もあるが、供給増加に伴い、徐々に下がる」(鉢村CFO)と三井物産と同様に楽観視はしていない。

グループ傘下の事業会社の黒字比率も2021年4月~6月期は約8割に回復している(前年同期は約7割)。徹底したコスト管理などが数字に現れた格好で、この先資源価格が軟調に転じても伊藤忠の業績が大きく下振れすることはなさそうだ。

三井物産や伊藤忠だけでなく、他の大手商社の業績も順風だ。三菱商事の2021年4月~6月期の純利益は1875億円(前年同期比411%増)で、通期予想3800億円の約半分をすでに稼いだ。柱となる原料炭事業も資源高の恩恵を受け、自動車関連事業も収益が大幅に改善する見通しだ。原料炭価格の推移などによっては、三菱商事も6000億円台を視野に純利益予想を上方修正する可能性もある。

総合商社は以前から、資源価格で業績が大きく左右される変動の激しい業界と見られてきた。そのため、市場関係者などの関心は早くも資源高一服後の動きに向かっている。追い風がやんだ後も利益を上げ続けられるのか。各社は早くも、来期の業績へのプレッシャーに苛まれることになりそうだ。

東洋経済のデジタル特集「商社 大転換」では5大総合商社のトップインタビューを配信しています。記事は無料の東洋経済ID登録でお読みいただけます。

伊藤忠商事社長
「後は見ない。すべてを懸けて走る」

三井物産社長
「エネルギーの大転換は大チャンス」

丸紅社長
「イケイケの空気を作ってはいけない」

住友商事社長
「最高益達成の根拠は見えている」

三菱商事社長
「社員全員の意識を変える」

大塚 隆史 東洋経済 記者

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おおつか たかふみ / Takafumi Otsuka

広島出身。エネルギー系業界紙で九州の食と酒を堪能後、2018年1月に東洋経済新報社入社。石油企業や商社、外食業界などを担当。現在は会社四季報オンライン編集部に所属。エネルギー、「ビジネスと人権」の取材は継続して行っている。好きなお酒は田中六五、鍋島。

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