三井物産vs伊藤忠、純益6000億円台めぐる攻防戦 資源高で業績を上方修正、非資源事業も回復

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三井物産が今回の業績修正に織り込んだのは資源関連事業の上ぶれのみ。非資源事業の見通しは、当初計画を据え置いたままだ。内田CFOは「他のセグメント(資源関連以外のセグメント)については今上期(2021年4月~9月期)決算時にリバイス(見直し)したい」と、さらなる上方修正に含みを持たせた。

実は三井物産が今回打ち出した「純利益6400億円」という数字は、商社業界にとって大きな節目となる数字だ。2019年3月期に金属やエネルギー事業の好調を受けた三菱商事が純利益5907億円を計上したが、6000億円台の純利益は、今までどの商社も足を踏み入れたことのない領域だからだ。

伊藤忠は対抗意識をにじませる

もっとも懸念材料もある。ひとたび資源価格が低迷に転じ、風向きが変わったときにどこまで業績を維持できるかだ。三井物産は中期的に、市況に左右されない機械・インフラ事業など非資源事業を育成する方針だ。

現行の中期経営計画の最終年度となる2023年3月期には、非資源事業で全社利益の半分を稼ぐ算段だ(2021年3月期の同割合は約4割)。この目標を達成するには、非資源事業で着実に利益を積み上げる必要がある。

快走する三井物産に対抗意識をにじませるのが、2021年3月期に純利益で商社トップに立った伊藤忠だ。8月4日に発表した2021年4月~6月期の純利益は、過去最高の2674億円(前年同期比155%増)。今2022年3月期の純利益は5500億円と見込んでおり、期初の3カ月間で約半分をすでに稼いだことになる。

4日の決算説明会で同社の鉢村剛CFOは、現時点では業績計画の修正を行わず、11月の決算発表時に上方修正を行う考えを示した。

注目が集まるのは上方修正の幅だ。鉢村CFOは「6500億円程度が上方修正の議論のスタートになりえる」としたうえで、「(実績を踏まえれば)6000億円はボトムに近い数字」だと強調した。

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