三菱商事社長が激白「2兆円」巨額投資の使い道 「エネルギー激変期」に総合商社の雄が大勝負

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――一方、再エネにも投資を加速する計画です。

2030年度までにエネルギートランスフォーメーション(EX)関連投資に2兆円を投じる。このうち、約半分ほどは洋上風力を中心とする再エネに投資し、再エネの持分容量を660万kWに倍増させる見通しだ。発電機の大型化が進む風力はまだまだコストダウンを図れる。

資源についても次世代で必要とされる競争力の高い案件には力を入れていきたい。一般炭権益を売却し、電化に欠かせない銅などへ資産の入れ替えを進めてきた。2022年度にはペルーのケジャベコ銅鉱山が生産を開始する。

AIやデジタル化も活用

――2兆円というと巨額ですね。

再エネや鉱山開発、アンモニアなどを進めるとお金がかかる。それなりの試算をした上で約2兆円という金額を出している。私が社長に就任して6年弱の間にグロスで5兆円を投資し、約3兆円を回収している。2030年までに2兆円というと年間2000億円程度だ。三菱商事のポートフォリオからすれば、無理のない金額だ。

――脱炭素はピンチとチャンスどちらですか。

当社は2050年に温室効果ガス排出量をネット(実質)ゼロにする方針を掲げており、全社を挙げて実現に取り組んでいる。

今後、自らカーボンニュートラルを達成できない企業は、未達となる排出量分の炭素クレジットを購入しなさいという仕組みが導入される可能性がある。当社の排出量(2020年度)は2530万トン。仮に炭素クレジットが1トン当たり150ドルかかる前提なら、金額は約38億ドル(約4300億円)にものぼる。早めに手を打って再エネを推進していくことが重要だ。

脱炭素の移行期に、単純にエネルギーを置き換えるだけというのは原始的な発想。AI(人工知能)やデジタル化といったイノベーションを組み合わせ、省エネなどにつなげることも重要だ。それが企業価値を高めることにもつながる。

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大塚 隆史 東洋経済 記者

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おおつか たかふみ / Takafumi Otsuka

広島出身。エネルギー系業界紙で九州の食と酒を堪能後、2018年1月に東洋経済新報社入社。石油企業や商社、外食業界などを担当。現在は会社四季報オンライン編集部に所属。エネルギー、「ビジネスと人権」の取材は継続して行っている。好きなお酒は田中六五、鍋島。

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