8月の「人流5割削減」提案が示唆する大事な教訓 第6波に向けて分析体制をどう構築したらいいか

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分科会のこれまでの分析・発信は今後さまざまな角度から検証される。そういった検証を積み重ねることが、将来のパンデミックにおけるより良い政策につながる。この論考は、そういったより良い未来のための試みの1つとして受け止めていただききたい。

重要ポイントは、以下の4つである。

1. 5割という数値目標は、(1)過去の深夜繁華街滞留人口と感染との相関関係に基づく推測、(2)厚労省アドバイザリーボード(以下AB)に提出されていたプロジェクションを参考にしつつ、国民の自粛疲れに配慮した総合判断に基づいた目標だと言える。
2. 上記2つだけでなく、当時内閣官房AIシミュレーションプロジェクト参画チーム(以下、AI-Simチーム)から提示されていた見通しの多くが、ある程度人流を削減しないと近い将来に感染は減少しないことを示唆していた。従って、5割という数値目標にはある程度の頑健性がある。
3. ABに7~8月に提出されていたプロジェクションにはワクチン接種の感染抑制効果が考慮されていなかった。そのことが、必要以上に大きな削減目標につながってしまったかもしれない。
4. 第6波においては、分科会はこれまで以上にAI-Simチームをはじめとした他分野専門家と協力することで、より説得力のある提言を生み出すことができる。

藤井仲田チームが検証・提案する意義

検証を始める前に、なぜ分野の違う経済学者チームによる分科会の提言検証・第6波に向けての提案に価値があるのかもしれないかを説明させていただききたい。

藤井仲田チームは今年1月から日本のコロナ分析に深く関与してきた。内閣府コロナ室に何度も分析を依頼され、分科会の感染症・公衆衛生の専門家に何度も分析を発表させていただきき、時には分析を依頼された。5~6月には総理官邸でワクチン接種の今後の見通しへの影響を説明し、5月には五輪の国内感染への影響を日本で初めて定量的に分析した。最近(11月9日)も、ABで8月後半からの感染減少の要因についての分析を発表させていただいたばかりだ。

今年7月からはAI-Simチームの一員としての活動もしている。分科会の感染症・公衆衛生専門家の方々からは何度もアドバイス・情報提供をしていただいている一方、彼らも頻繁にわれわれのZoom説明会に参加している。

このような経験から、どの時期にどのようなデータ・モデル分析がどの研究チームから提示されていたかをある程度正確に把握している。そして、さまざまなコロナ分析を行ってきた数理モデル専門家ではないと気が付きにくい、重要なパラメーター設定、記述されていない仮定・分析手法の限界等が、一般の方々と比べるとより正確に理解できる。もちろん、別分野の専門家であるため、感染症専門家と比べて理解が足りない点は多々あるが。

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