大谷翔平のような人が育ちにくい日本組織の弱点 上司の干渉、トップ介入が横行するマネジメント
なぜ、日本の組織において、このようなマイクロマネジメントやトップの現場介入が横行するのでしょうか。その根底には「日本型雇用慣行」が鎮座しています。
日本型雇用慣行といわれる雇用システムは、「終身雇用」「年功賃金」「企業内組合」というシステムで成り立っていました。このシステムは、企業と労働者の運命共同体的関係を育んでいきました。
企業側は「うちの会社に就職したら一生安泰」という安心・安定を保障する一方で、労働者側は「雇って(=守って)もらっているわけだから、会社の都合で、なんでもやります。どこでも転勤します」と忠誠を誓う。家族のような絆で結ばれた関係性であることから、メンバーシップ型雇用ともいわれます。
家族ならまだしも、こうした雇用関係だと、従業員を「駒のようなもの」としかとらえず、扱いもぞんざいになりがち。貴重な休日を潰して働かせることに何の罪悪感も覚えない上司や、「給料を払ってやっている」「養ってあげている」と考えているトップがはびこっていくことになるのです。
その結果、本来必要とされる組織開発の思考が日本では熟成されてきませんでした。これは、メンバーシップ型の雇用慣行によって生まれた大きな弊害の1つです。
現場の邪魔をしないこと
マネジメントという言葉の起源は16世紀中ごろのラテン語にあります。manageとは、「(馬を)手で御する」という意味、つまり「手綱を引く」ことなのです。この語源を参考にすると、マネジメントとは“うまく手綱を引き、うまく誘導しながら人や物を管理し生かしていくこと”です。
マイクロマネジメントはむしろ、「control(制御)」に近い手法と言えるでしょう。本来の意味でのマネジメントは、目指すべきゴールだけを正確に伝えて、具体的なやり方は部下に任せる手法を言います。
イノベーションを創造する人材、圧倒的な成果をあげる人材が組織に貢献してくれることは明らか。こうした人材を輩出していくためにトップや上司が行うべき本来の仕事は、部下の業務を事細かく監視することではなく、組織全体を俯瞰して方向性を示すことです。
要は、変に出張って現場の邪魔をしないこと。大谷翔平選手の活躍は、われわれにそういう示唆をくれているような気がしてなりません。
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