GAFAの戦略バイブルに書かれていた「すごい予言」 知っておくべき「情報経済」というキーワード

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視点❶ 価格設定……価格は生産コストでなく、顧客の価値に応じて決める必要がある。
視点❷ 知財管理……情報財はすぐコピーできるので知的財産の保護が難しい。むしろ保護せずに価値を高める方法に、発想を転換する必要がある。
視点❸ スイッチング・コスト……情報財は囲い込み(ロックイン)が起こりやすい。
視点❹ 正のフィードバック……強者はさらに強く、弱者はさらに弱くなる。勝者総取りだ。
視点❺ 規格化と標準化……規格化と標準化を早く確立できれば情報財は広がっていく。このためには早い段階で味方と競合の見極めが必要だ。協業や協力体制が勝敗を握る。

いずれも重要なポイントだが、本記事ではこの中から❸スイッチング・コストと❹正のフィードバックの概要を紹介しよう。

スイッチング・コストをデザインせよ

私がかつてPCをウィンドウズからマックに乗り換えたとき、データ移行や操作方法の習得などで数カ月間かかった。このような乗り換え時のコストが、スイッチング・コストだ。

また私は20年近くGメールを使用している。メールアドレスの引っ越しは実に大きな手間がかかるし、Gメールはセキュリティーレベルも高いので、Gメールからの乗り換えなんて考えたこともない。これもスイッチング・コストの一種だ。

情報財は、スキル、データ移行、契約の縛り、移行先を検討する手間など、スイッチング・コストが増大する構造になっている。スイッチング・コストが増えると顧客はそのサービスにロックイン(囲い込み)される。ロックインされた顧客はサービスを使い続けざるをえない。こうして顧客をつかんで離さない力があるロックインは、莫大な利益の源泉になる。

インターネットで成功したサービスは、いずれもスイッチング・コストをうまくデザインして顧客をロックインしている。楽天もそうだ。ショッピング・証券・銀行・カード・旅行・通信といった「楽天経済圏」の中で楽天ポイントを貯めて安く買い物できるのも、利便性によって顧客の乗り換えコストを高めて顧客を囲い込むためなのだ。

次ページユーザーが多いほど商品価値が高まる「正のフィードバック」
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