GAFAの戦略バイブルに書かれていた「すごい予言」 知っておくべき「情報経済」というキーワード
刊行は1998年。変化が激しいネットビジネスではもはや古典とも言えるが、膨大な経済学の原理原則にもとづき、情報経済で戦略的に意思決定する方法を解説している。だから時代を超えても役立つ。著者カール・シャピロとハル・ヴァリアンは、理論と実務の両面に精通する経済学の研究者だ。
情報経済の鉄則は意外なほどシンプル。当たり前のことも多い。これを体系的に理解し実践するか否かで、雲泥の差が付く。しかしながらいまだに大多数の日本のビジネスパーソンが、本書の内容を十分に咀嚼していないのも現実だ。本記事ではポイントを紹介していこう。
情報経済の2つの特性と、5つの戦略的視点
最近の私は、映画をネット配信で観ている。制作費数百億円の映画作品でも、視聴料金は数百円だ。私はアマゾンプライム会員なので、追加料金すら払わず映画を観ることもある。この映画・書籍・音楽・ソフトウェアのように情報主体の商品や財が、情報財だ。これら無形の情報財は、有形財であるモノ商品とはまったく異なる特性がある。
クルマのような有形財は、1台つくるたびに生産コストがそれなりにかかる。しかし映画のような情報財は、制作費は大きいが、ネット配信すれば作品を顧客1人ひとりに届けるコストはほぼゼロ。情報財はモノ(有形財)とは異なり、生産コスト(固定費)が高く、追加でもうひとつ生産する費用、つまり再生産コスト(変動費、または限界費用ともいう)がほぼゼロという特性がある。
また完成した映画を公開中止すると、制作費用はすべてムダになり回収できない。このように情報財は生産コストが埋没費用(サンクコスト)になってしまう特性もある。
情報財はこのように「再生産コストはほぼゼロ」「生産コストは埋没費用」という2つの特性がある。そこで情報財では、次の5つの戦略的な視点が必要になる。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら