「在宅死」を怖がる人が意外にも誤解している事実 警察沙汰にならないし不動産の価値も下がらない

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自宅で最期まで過ごすことに、費用面で不安を感じる人もいます。しかし各種の公的制度を活用すれば、ごく一般的な年金収入の人であっても在宅死は可能です。日本は医療保険制度や介護保険制度など、公的な仕組みが充実しているからです。

例えば75歳以上の高齢者が支払う医療費の自己負担は、原則として1割(現役並み所得者は3割負担)。これは終末期の医療においても変わりません。さらに、1カ月の医療費が限度額を超えた場合に、超えた分の医療費が払い戻される「高額療養費制度」や、介護保険サービス費が限度額を超えた場合の「高額介護サービス費」などもあります。これらの公的制度を活用すれば、一般の人が最期まで自宅で過ごすことも決して無理ではないのです。

人生の最終段階、思いと行動にはギャップも

自分自身が望む最期を迎えるには、元気なうちから人生の最終段階をイメージし、あらかじめ家族や周囲の人と話し合っておくことがとても重要です。

『在宅死のすすめ方 完全版 終末期医療の専門家22人に聞いてわかった痛くない、後悔しない最期 』(世界文化社)。書影をクリックするとアマゾンのサイトにジャンプします。紙版はこちら、電子版はこちら

厚生労働省の調査によれば、人生の最終段階における医療・療養について考えたことがある人は約6割に上りました。また、死が近づいたときに受けたい医療・受けたくない医療について、家族と話し合ったことがある人は約4割となっています。意思表示の書面をあらかじめ作っておくことに賛成する人も6割を超えていました。

一方で、実際に書面を作成している人は、書面作成に賛成する人のうち1割未満でした。このように最終段階について考えることの重要性は理解しているものの、実際に行動に移している人はほとんどいないなど、思いと行動にはギャップがあります。

取材の中でどの医師も繰り返し言っていたのは、「自分の希望をきちんと周囲に伝える」ことの重要性です。人生の最終段階をどこで過ごしたいか、どのような治療を受けたいか、あるいか受けたくないか――ぜひ一度、家族や友人と話してみてはいかがでしょうか。

(取材・執筆:横井かずえ/医療ライター)

『在宅死のすすめ方』取材班

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『在宅死のすすめ方 完全版』(世界文化社)は以下の面々で取材・執筆・構成を担当した。

(取材・執筆)
福島安紀(ふくしま・あき)/医療ライター、横井かずえ(よこい・かずえ)/医療ライター、大成谷成晴(おしょうだに・しげはる)/編集・ライター、小川留奈/医療ライター

(構成)
田中留奈(たなか・るな)/「伝えるメディカル」代表

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