一般に「ヤマを張る」というのは一か八かの懸けをして一発当てにいく、という「邪道」なイメージがありますが、こと試験における「ヤマ張り」は、時間の有効活用のために行われるもので、勉強の「王道」である、と思っています。
「ヤマ張り」の詳細についてご興味のある方は拙著をご覧いただくとして、まず押さえていただきたいのが「ヤマ張り」の本質。実はこれは、「出題者の立場になって考える」ということに尽きるのです。過去問というゴールから出題者の心を読み解き、逆算することで、必要な勉強、不要な勉強があらわになります。
あらゆる試験は何かのスタート地点に立つために受けるもの。通過しても勉強は続きます。安心してはダメです。続きます(笑)。
とすれば、試験なんぞサッサと通過して早くスタート地点に立つことが重要です。私が資格試験対策のビジネスを起業したのも、受験生の方に少しでも早く試験に通過してもらい、スタート地点に立ってほしいからです。
社会人と学生の最大の差は?
社会人になり、ようやく勉強から解放されたのもつかの間、20代も30代も、40代になっても勉強は続きます。白黒はっきりする資格や英語の試験はもとより、社内の昇進試験や実務能力を鍛錬するための勉強など、さまざまな勉強が必要になります。
社会人と学生の勉強は、ある点で決定的に異なります。そう、それは勉強に使うことのできる「時間」です。そしてこういうときこそ、従来の王道「コツコツ」戦法ではなく、「ヤマ張り」戦法が役に立つのです(我田引水と思うことなかれ)。
私自身も社会人1年目、学生時代とのギャップに驚きました。弁護士事務所で新米ひよこ弁護士としてピヨピヨと働き始めた頃のことです。仕事を進める中で、会計の知識が必要となる場面が多々あり、そのたびに自分の理解不足を痛感しました。そこで、仕事に生かせる会計知識を身に付けるべく、簿記1級を目指すことにしました。
ただ、いざふたを開けてみると、これが難しい。簿記1級は、2級よりも断然難易度が上がり、出題範囲は多岐にわたります。
一方で、弁護士1年目などピヨピヨ言ってるだけですから、仕事に時間はかかるわ、書面のクオリティは低いわで、本業の方も毎日夜遅くまで真剣に取り組まなければならない状況でした。当然、存分に勉強する時間など確保できません。
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