医療ドラマの登場人物「5タイプ」しかない理由 とかく「金に汚い医師」はひどい末路に陥りがち

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タイプ4:ヒヨコ型

まだまだ技術も経験も未熟で、失敗ばかりの毎日を送っている医師たちもいます。

『ナイト・ドクター』の朝倉美月(波瑠)や深澤新(岸優太)たちがそうでしたし、『コード・ブルー~ドクターヘリ緊急救命』(フジテレビ系)の第1、2シリーズぐらいまでの藍沢耕作(山下智久)や白石恵(新垣結衣)、緋山美帆子(戸田恵梨香)たち、最近では『泣くな研修医』(テレビ朝日系)の雨野隆治(白濱亜嵐)や中園くるみ(恒松祐里)たちなども同様です。彼らが主人公となる場合は、群像劇であり、理想の医者への成長ドラマというのが定番パターンですね。

また、このタイプが脇役に回る場合は、『ラジエーションハウス』の甘粕杏(本田翼)や、『救命病棟24時』の第1シリーズでの小島楓(松嶋菜々子)のように、熱血型主人公の理解者として位置づけられることがほとんどです。

視聴者の「理想の医者」が反映されているのでは?

タイプ5:人情型

患者1人ひとりに寄り添い、時にはその人生まで背負い出す、人情型医師もおなじみでしょう。

『Dr.コトー診療所』シリーズ(フジテレビ系)の五島健助(吉岡秀隆)や、『コウノドリ』(TBS系)の鴻鳥サクラ(綾野剛)、『チーム・バチスタ』シリーズ(フジテレビ系)の田口公平(伊藤淳史)、『海の上の診療所』(フジテレビ系)の瀬崎航太(松田翔太)、最近では『にじいろカルテ』(テレビ朝日系)の紅野真空(高畑充希)などがこのタイプですね。

彼らの場合、医療ドラマの主流である外科医なことはまれで、内科や産婦人科ということがほとんど。また、離島や限界集落のような診療所に赴任していることが多いパターンですね。

……という5タイプですが、ある意味、われわれ視聴者が求める理想の医者像をさまざまに反映したものとも思うのですが、いかがでしょうか? これ以外のタイプを思いつかれた方はいらっしゃいますか?

医療従事者という存在が、いろんな角度から再検証・再確認した昨今を経て、さらなる新タイプの医師の登場は、果たして?

小林 偉 メディア研究家

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こばやし つよし / Tsuyoshi Kobayashi

メディア研究家、放送作家、日本大学芸術学部講師。東京・両国生まれ。日本大学藝術学部放送学科卒業後、広告代理店、出版社を経て、放送作家に転身(日本脚本家連盟所属)。クイズ番組を振り出しに、スポーツ、紀行、トーク、音楽、ドキュメンタリーなど、様々なジャンルのテレビ/ラジオ/配信番組などの構成に携わる。また、ドラマ研究家としても活動し、2014年にはその熱が高じて初のドラマ原案・脚本構成も手掛ける。

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