宇野郁夫・日本生命保険会長--保険経営に必要なのは長期的視点と中庸の精神

宇野郁夫・日本生命保険会長--保険経営に必要なのは長期的視点と中庸の精神

6月初旬にスペインのマドリードで開催された世界保険会議(IIS)で、日本生命の宇野郁夫会長が日本人として初めて基調講演を行った。IISは世界92カ国の保険会社のトップや保険関係者らが集まる国際会議で、今回のテーマは「金融危機を乗り越えて」。講演は英語で行われ「市場主義は、行きすぎると避けがたい崩壊を招く」と警鐘を鳴らした。危機後の保険業の果たす役割、長期的視点に立った経営の重要性などについて聞いた。

--日本人初の基調講演ということですが、講演内容についてはいつ頃から考えていましたか。

昨年の8月ごろ、この基調講演の依頼がありました。その後アメリカ出張があって、たまたまカーター元米大統領のスピーチライターをしていたゴードン・スチュアート氏にお会いした。

彼に「草稿の手直しをしてもらえないか」と頼んだら、「大事なのは手直しすることではない。君は何を言いたいんだ? それを今話してくれ」と。そのとき話す内容は何も決めていなかったが、日頃思っていたことを話したんです。

金融の世界を物理学でとらえるなんておかしい、と。人間の心理とか、欲望とか、精神のあり方などすべて反映されているのが、金融の世界。収益第一主義で永久に成長ありき、なんてことがありうるのか……。

「こういうことを話したら、米ウォール街から反発を受けるか?」と聞いたんです。すると、スチュアート氏は「勇気を持て! 言いたかったら言え」と。それで、日頃から考えていたことをまとめました。

ただ、すべて自分の意見として話すと、お説教になってしまうので(笑)、ギリシャ哲学、東洋哲学とか、開催地のスペインの哲学者であるオルテガ、あるいはアダム・スミス、ケインズ、ヒックス、サミュエルソン、J・P・モルガンなどの言葉を引用しながら、まとめました。

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