グーグル社内の「風通し」が圧倒的にいい理由 自社サービスを駆使し社内の情報共有を活性化

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アシスタントのプロジェクトは、スムーズに始まったとはいえなかった。当初の混とん状態を解消するため、ピチャイはグループや部門を超えたアイデアの流れを邪魔している障壁を取り除いた。さらにアシスタントチームをとりまとめ、時には25人以上にもなる会議で、何を構築しているのか、誰が何をつくるのか、何を優先させるのかについて、意見をまとめる力となった。

全員の意見が一致すると、ピチャイはグーグルでクロームを開発した際のやり方をもっと幅広く適用した。すなわち、まず明確な枠組みを設定したら、自分自身は支援に回り、社内で協力して開発するに任せたのだ。

そこからは事態が急速に進んだ。グーグル社内のコミュニケーションツールは、プロジェクトの各チームが新しい可能性に気づいたり、コラボレーションすべき相手を見つけたり、情報を共有したりすることに役立ち、アシスタントの開発を速めた。

「スピーカー搭載」が決まったが…

それぞれのサービスをうまく調和させるために作業する一方で、各チームはアシスタント自体についての新しい課題にも取り組んだ。顔があったほうがいいか、名前はグーグルアシスタントにするか、それともほかの名前にすべきか、ユーモアのある受け答えをさせるべきかなどを論じあった。

グーグルアシスタントの開発にはさらにもうひとつ、スマートスピーカーという新機軸がからんでいた。ユーザーがグーグルとつねに会話するには、電話を持っていないときでも、どこにいるときでも、話しかけることができなければならない。そのため、アシスタントを組み込んだスピーカーが計画に追加された。その名はグーグルホームだった。

だがグーグルホームは、アシスタントプロジェクトの地雷になりかねなかった。ハードウェアは一般に、トップダウン型の計画で製造される。ある程度の数の製品を年末商戦に間に合うように製造するため、一定数の部品を特定の日付までに発注しなければならない。それ以降は、そのハードウェアに対してたくさんのアイデアを入れる余地はほとんどない。だからハードウェア事業は通常、トップダウンになるわけだ。

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