グーグル社内の「風通し」が圧倒的にいい理由 自社サービスを駆使し社内の情報共有を活性化

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アルファベットを構成する企業には、カリコ(グーグルの老化研究プロジェクト)、ライフサイエンス(グーグルのヘルステック研究グループで現在の名称はベリリー)、そして新たに精鋭化されて生まれ変わったグーグルなどが含まれる。

アルファベット体制で、創設者たちは大きな科学的プロジェクトと資本主義の混合体になっていたグーグルを再び本来の目標に集中させ、科学的プロジェクトは、より大きなアルファベット傘下の企業に分割することにした。アルファベット体制への再構築の動機は明らかだった。モバイルウェブが急速に時代遅れになっていた当時、伝統的な検索は役に立たなくなってきていたのだ。

一方、最初はみんなの笑いものだったアマゾンのAIデバイスのエコーは進化しつつあった。質問に答えることはグーグルの得意分野だが、アマゾンがそこに侵略しはじめていたのだ。グーグルは再び変革する必要があった。創業者たちからグーグルを引き継ぐとすぐ、ピチャイは社員たちに「AI第一主義」の導入を指示し、製品にAIを組み込むチャンスを逃さないようにと告げた。

AIでサービスは進化したが…

グーグルのコラボレーションの文化は、ピチャイの指示が迅速に根づくために役立った。

たとえばグーグルの翻訳チームがAIモデルを使って、ある言語で書いた文が別の言語ではどうなるかの予測をすると、Gメールチームが、同じモデルを使って、電子メールを受け取ったとき、返答に使える短いAI生成文を提案するスマートリプライ機能を生み出した。

また、グーグルカレンダーと航空便の予約情報を共有するようになり、グーグルカレンダーはその情報を自動的に記録するようになった。グーグルフォトズは抱擁などのしぐさを判別できるようになり、しぐさをカギに写真を検索できるようになった。グーグル音声検索は、自然言語による質問に答えられるまでに進化した。

このようにしてグーグルは進歩を始めたが、この段階ではまだ一体になっているとはいえない状態だった。

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