岩澤信夫 その1【全4回】 耕さない田んぼで利益の出るコメ作りをする



 機械化ができず、お年寄りだけでやっている農家だったのです。彼らは機械化農業で使う2・5葉(葉が2枚半)の稚苗(ちびょう)ではなく、水苗代の5・5葉の成苗(せいびょう)を植えていました。これがイネの生命力を強めていたのです。けれども苗を成苗まで育てるのはたいへんです。そこで私は、スイカの苗作り技術「低温育苗」を応用しました。苗を田んぼにつけて寒さを与え、伸びすぎないようにしたのです。

同じ頃、福岡正信先生の本『自然農法--緑の哲学の理論と実践』に出合いました。不耕起という言葉を初めて知り、本を読んだ翌日、愛媛県の福岡先生の自宅を訪ねました。福岡先生が言うようなイネの種を直接まく直まきは寒冷地には合いませんでしたが、耕さない田んぼに成苗を植える方法を考え、試しました。

すると非常に生命力の強いイネが育ちました。93年の大冷害のときにはほかのイネの収穫がほぼゼロの地域で、不耕起の田んぼだけが豊かに穂を垂らしたのです。こうして不耕起栽培に自信を深めていきました。

いわさわ・のぶお
1932年千葉県成田市生まれ。旧制成田中学(現・成田高校)卒業後、家業の農業に従事。スイカの早期栽培に成功した後、コメ作りを研究。長年の試行錯誤の後、耕さない田んぼで、農薬も肥料も使わずに多収穫のイネを作ることに成功した。日本不耕起栽培普及会会長。

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