IMFは最近、欧州の一部の国々(特にギリシャ)への融資について、従来と異なる返済繰り延べ策を推進しているが、これは使い勝手がよさそうだ。だがその結果IMFの資金が枯渇し、海外からの融資停止でやむなく予算削減する国のショックを和らげることが難しい。
ユーロ圏が最近経験した危機は、1980年代の中南米の債務危機とは際立って対照的だ。当時は、銀行がすぐに融資をストップすることは許されなかった。新提案が採用されればIMFは、持続不可能な公的債務(IMFスタッフが判断)を負った国への融資を条件付きで断るので、債権者はまず債務の「リプロファイル」に同意しなければならなくなる。
「リプロファイル」とは「債務繰り延べ」の婉曲表現だ。これにより債務国は既存の債権者から、市場調達よりも長期かつ低金利での借り入れが可能となる。
今のところ、米国はIMF提案への同意に消極的で残念だ。経済より地政学が優先する場合がある、と米国政府は考えている。ウクライナのような例外的な事例で、もし米国が無条件の資金供与をまとめていたら、国際的な融資体制を講じるより、ずっとよかっただろう。
公的債務契約を海外の裁判所が裁くことで紛糾が繰り返されることや、国家破綻に対して信頼できる公正な処理が国際社会にはできないことを勘案すると、最善の案は対外債務の大部分を債務国自身の裁判所を通じて処理することだ。ジェレミー・バロウ氏と私は、25年前にこの線に沿った提案を行ったが、このアプローチは今でも正しい。
内国債市場の掘り起こしが重要
この案では、外国からの多額の借り入れに関心がある国々は、確実な返済を保証する必要に迫られる。実際に、新興市場では最近、内国債が大幅に拡大しており、市場の緊張緩和に役立っている。
もちろん、自国通貨で債券を発行する国は為替レートに弾力性があるかぎり無リスクだ、と考えるのは甘い。インフレリスクを免れないからで、金融制度が脆弱で債務負担が重い国は特にそうだ。
それでも、アルゼンチン債務危機が示唆するように、公的債務問題を処理するグローバルな体制は、大いに改革する必要がある。内国債市場の掘り起こしが、IMFが提唱する線に沿った改革と相まって、どうしても必要とされている。
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