「栗原はるみ」と「今の料理家」との決定的な違い

女性料理家が主婦と呼ばれがちな事への違和感

近年はライフスタイルの多様化で、1人暮らしをする人や、男性で料理する人たちも増えてきた。そうした需要にも応える、男性料理家なども増加。料理家たちは、人々の要請に応えるためにレシピを研究し続けている。

山本氏の場合、デパ地下などを歩いてトレンドをリサーチする一方、日々「当たり前とされているけれど、面倒くさい工程」を簡略化する方法を考え続けている。

新刊のプロモーションのため本屋でサイン会を行うと、親子2代で来る人、母親に本をもらった、娘にもらったという人たち、90代の祖母が使う、祖父にプレゼントしたという人などが訪ねてくる。老若男女が彼女のレシピを頼りにしているのだ。

「主婦」と呼ばれるのを拒んだ小林カツ代

料理家が、主婦業から発展して職業になった部分は確かにある。しかし、人が誰かを「主婦」と呼ぶとき、そこには「アマチュア」というニュアンスを含む場合がある。趣味の領域であって、その仕事によって自立するプロフェッショナルとは異なる、という含みだ。

1990年代、小林カツ代氏が『料理の鉄人』の出演依頼を受けた折、肩書を主婦としたがる番組スタッフに、主婦ということでステイタスを上げようとするのは、主婦でもそうでない人にも失礼だ。ましてプロとプロの戦いに主婦を登場させるのは鉄人にも失礼だ、とその肩書を拒絶したことがある。既婚女性を安易に「主婦」と呼ぶ問題点を、端的に表した言葉である。

主婦は、時に自分を犠牲にしながら、家庭を守ることに注力する人たちである。一方、料理家は時間と労力を費やして、幅広い人たちに再現性の高いレシピを提案する人たちである。そのレシピが多くの家庭の食卓を、より豊かにしてきた。主婦はもちろん、初心者も高齢者も、レシピがあったからこそおいしいご飯を作れた、という人がたくさんいる。

だからこそ、料理家たちはその仕事でお金をもらい、自分や家族を養っているのである。主婦業の延長線上でプロになった人、料理が好きで家庭生活とは別に料理家になった人、そのいきさつは人それぞれだが、レシピでお金をもらっている人たちは皆、プロフェッショナルな料理家なのである。

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