「栗原はるみ」と「今の料理家」との決定的な違い 女性料理家が主婦と呼ばれがちな事への違和感

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

1990年代、栗原氏は「カリスマ主婦」と呼ばれていた。彼女の場合、たとえベストセラーを出し「きょうの料理」(NHK)にレギュラー出演する料理家だったとしても、その肩書はあながち外れではない。

栗原氏のレシピは、家族に出して好評だったものがベースにある。ロングセラーの『ごちそうさまが、ききたくて。』は、サブタイトルが「家族の好きないつものごはん140選」。あとがきには「毎日うちで食べているおそうざいを集めたら、この本ができました」と書いている。撮影用の器も、自宅にあるものを使ったという。同書は、栗原氏の暮らしを紹介するノンフィクションでもあるのだ。

撮影用の料理は家族用とは「別」

山本氏にとって、仕事で作る料理はあくまで「商品」という位置付けだ。撮影で忙しいときは、「『商品』はあるけど、夕ご飯は作れていないことがあります」(山本氏)。そんなときは夫に子どもたちを外食に連れ出してもらったり、総菜を買うなどする。家族に食べさせる料理は撮影用とは別なのだ。

料理家にはときどきあるというこの"現象"、山本氏の家で生じるのは撮影用の商品が、家族の好みと合わないという理由が大きい。「うちの家族、特に夫は保守的で、変わったメニューを好まない。アボカドは誰も食べないですし、焼いたトマトも苦手なんです」(山本氏)。

山本氏が料理家の道を志したのは、子どもの頃から家にあるレシピ本を毎日読み、本屋でも「新刊が出たらすぐわかるぐらい」マメに通って立ち読みもするほどレシピが好きだったからだ。成長するまでに読み込んだレシピ本は、200冊にも及ぶ。

広告代理店に就職が決まった大学時代から、料理に関するブログを始めた。当時、『作ってあげたい彼ごはん』のSHIORI氏などブロガー出身の料理家のレシピ本が次々と発売され、ベストセラーになっていたからだ。1年後、宝島社からレシピ本制作の声がかかる。そして2011年4月に最初のレシピ本『syunkonカフェごはん』を刊行。同じ年に結婚、出産もしている。

家事も積極的に行う会社員の夫と結婚した山本氏は、仕事を生活の主軸に置く。「主婦の定義は難しいですが、既婚女性は全員主婦の一面がある。ただ、肩書にするなら、家庭をメインに働いている人というイメージでした。仕事をするにしても、部分的にアウトソーシングしたとしても、家庭に比重を置き、家族の生活を一番大事にしている人なのかなと思っています」(山本氏)。

次ページ料理家と主婦はなぜ混同されやすいのか
関連記事
トピックボードAD
キャリア・教育の人気記事