「スッキリ」を完璧に叶えてしまう「ある方法」とは 「発酵」は買わなきゃもれなくついてくるもの

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要するにぬか漬けとは、自然の循環の仕組みをちゃっかりと利用することである。ぬか床という菌のおうちを作って「良い菌様」を飼いならし、余ったものは菌様に預けておく。するとその菌様が、食材を腐らせることなく、逆に美味しく調理までしてくださるのだ。まったく人生に欠かせぬバディとは菌様のことである。

で、このような良い菌様はもちろん、食べて人の体の中に入ってもちゃんと生きているわけで、その美しく勤勉な働きはどこにいようと変わらない。つまりは腸の中でも食べ物をキレイに分解してくださるのである。なので健康にも良いのは当然である。

つまりはですね、自然の循環とは実に「あんじょう」できているのだ。我らのご先祖様は試行錯誤を繰り返しながら、その自然の大いなる流れの中に、人も自然の一部として身を置いて生き延びる方法を編み出してきたんである。だからゴミも出ないし余計なエネルギーもいらないしお金もいらない、ただそこにぬか床があれば、すべてがくるくると循環していたのである。

「冷蔵庫」が人間と菌との付き合い方を変えた

ところがですね、冷蔵庫ってものが登場すると、我らは菌の力じゃなくて、エレクトリックパワーで食材を保存しようってことになったんですね。

良い菌を生かすんじゃなくて、菌全般をおしなべて凍えさせ動けなくなるようにしたのが冷蔵庫である。ぬか床とは真逆の発想ですな。かくして人は自然の循環から自らを切り離し、自然から超越した存在となった。

菌の世話をする(ぬか床をかき回す)なんていう面倒でクサイことから解放された人々は、ああよかったよかったと、かつてはどの家庭にだって当たり前に飼っていたバディたちを次々に家の中から追い出してしまった。そして気づけば、人はかつてのバディであった菌を腐敗の元として敵視し、菌と無縁にセーケツに暮らすようになったんである。

……っていう壮大なストーリーをですね、ぬか漬けを日々ボリボリ食べながら、ナルホド我らが「豊かさ」とは要するにそーいうことだったかと日々うなずいている私である。

で、これは人にとって良いことだったのか?

もちろん、良いこともあったろう。でも私は、このことの、つまりは人間が自然から超越した存在になったことで払わなきゃいけなかった代償も、実に実に大きかったと思う。

何しろかつての私もそうだけど、そもそも今や、漬物が菌の力でできてるなんてことを知っている人がどれほどいるだろう? ふと気づけば、本当の漬物なんてものはこの世の中からほぼ姿を消してしまった。

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