中国のスマートフォン大手の小米(シャオミ)は8月25日、自動運転技術の開発を手がけるスタートアップ企業の「深動科技」を7737万ドル(約85億円)で買収すると発表した。シャオミが2021年3月末に(自社ブランドの)電気自動車(EV)への参入を宣言して5カ月。同社は企業買収を通じて、その歩みを速めようとしている。
「自動運転技術はスマートEVにとって最も重要な技術だ。深動科技はスマート自動運転ソフトウェアの開発に集中して取り組んでいる。その買収を通じて、(独自の)自動運転技術の実用化をスピードアップしたい」。シャオミの総裁(社長に相当)を務める王翔氏は、深動科技の買収発表と同じ日に開催した2021年4~6月期の決算説明会でそう述べた。
深動科技は、アメリカのマイクロソフトが北京に置くコンピューターサイエンス研究所「マイクロソフトリサーチアジア」の出身者4人が2017年に共同設立した。同社は翌2018年、数千万ドル(1ドル=約110円)のシリーズAの資金調達に成功。ベンチャーキャピタルの紅点中国がそのリード投資家を務めた。
シャオミは深動科技の買収をテコに、EV事業の立ち上げを一段と加速するもくろみだ。「第1ステップとしてすでに自動運転技術関連の人材を500人採用した。今後は(特定の条件下での完全自動運転が可能な)レベル4の技術開発をスピードアップする」(王総裁)。
主力のスマホ事業の躍進が下支え
こうしたEV事業への先行投資を支えるのが、主力であるスマホ事業の躍進だ。シャオミの2021年4~6月期の売上高は前年同期比64%増の878億元(約1兆4900億円)、純利益は同84%増の83億元(約1409億円)と、大幅な増収増益を達成した。
そのうちスマホ事業の売上高は591億元(約1兆30億円)と前年同期より8割増加し、総売上高に占める比率は過去3年間で最大の約7割に達した。なお、4~6月期のスマホ販売台数は前年同期比8割増の529万台、1台当たりの平均販売価格は前年同期と同水準の1116.7元(約1万8950円)だった。
複数の市場調査会社のデータによれば、シャオミは欧洲や東南アジアなどの海外市場で販売を大きく伸ばし、4~6月期は出荷台数ベースの市場シェアが韓国のサムスン電子に次ぐ世界第2位に浮上した。調査会社の1社であるカナリスのデータでは、シャオミの4~6月期の世界シェアは17%と、前年同期より7ポイント上昇している。
(財新記者:何書静)
※原文の配信は8月26日
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