「部下に花を持たせる」上司ほど昇進する理由 次世代リーダーを育てるプロのインテグリティ
『INTEGRITY インテグリティ――正しく、美しい意思決定ができるリーダーの「自分軸」のつくり方』を上梓した岸田氏が、次世代リーダーを育てるインテグリティについて説く。
後輩や部下に「花を持たせる」
インテグリティ(高潔さ、誠実さ、真摯であること)のある人は、人を育てるのが上手です。私は、私の最も重要な仕事は、業績を上げることではなく、次のリーダーをつくることだと位置づけました。そして2020年の1月1日付で、当時38歳だった関灘茂さんがカーニーの日本代表に就任しました。
コンサルティング会社では社内での地位が「マネジャー」→「プリンシパル」→「パートナー(共同経営者)」と、徐々に上がっていきます。人材を育てる観点から言えば、まずパートナーシップのメンバーすなわちパートナーをつくる。そしてパートナーをつくるためにはパートナーの予備軍であるプリンシパルをつくっていくという考え方になります。
次のリーダーをつくるために何をするかというと、自分が輝くのではなく、ほかの人を輝かせることです。具体的に言えば、「この仕事は彼が・彼女がやりました」と手柄を立てる、花を持たせる機会をつくることです。
逆に言えば、「成功したら手柄は自分のもの」としていたら、人はついてこない。いわば、Make room for others to shine.ということです。
コンサルティング会社では、常にプロジェクトごとに新しくチームがつくられます。固定的な部があって、課があって、係があって、私は課長だからお前は部下だよねという関係はありません。そういう束の間のチームだから、「私はあなたの上司だよ」と言ったところで知れている。3カ月経てばバラバラになっているかもしれないし、関灘さんのように優秀な人がいたら追い越されてしまうかもしれません
ですから後輩や部下を育てるのも難しいところがあるのですが、私がリーダーの資質として重視しているのは「ナチュラルチーム」をつくることができるかということです。
「ナチュラルチーム」とは何かというと、たとえば懇意にしている社長から金曜日の夜の会食の席で「月曜日にこういう意見を聞きたい」と言われたとします。そのための準備期間は土日しかありません。
自分一人で準備してもアイデアに限界はあるし、作業も間に合わない。
(働き方改革ではこのようなことはご法度ですが、それはひとまずおいておくとして)そこで週末に私が連絡したら、3人くらいのメンバーがどこかに集まって、あるいはリモート会議で、一緒に手弁当でその仕事をしてくれる。それがナチュラルチームです。
目先の利害とは関係なく、ちょっと面白そうな仕事だし、この人となら一緒にやりたいと言ってくれる。そういうナチュラルチームメンバーがいる人は、かなり有望だと思います。
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