「部下に花を持たせる」上司ほど昇進する理由 次世代リーダーを育てるプロのインテグリティ
人間はよいところも悪いところもあります。しかし私たちは、人の短所はよく見えるけれど、長所はあまり目に入ってこない。だから往々にして「ここはダメだから、ここを何とかしなさい」と指摘してしまいがちです。
一人の人間の能力を六角形や八角形のレーダーチャートで表して、「あなたはここがよいけれど、ここが低い」と言って、点数の低い部分を伸ばそうとしますが、私はそこを指摘したところで、本人が萎縮するだけで、あまり意味がないと思います。
「強み」を伸ばせば「弱み」が「弱み」でなくなる
評価会議でも、「この人はここができない」という報告を聞くたびに、「それはもう何回も聞いてわかっているから、こことここをもっと伸ばそうよ」と言います。そうすることで何が起こるかというと、長所を伸ばすうちに短所があまり気にならなくなるのです。
面白いもので、人間というのは年をとっても、レーダーチャートの形そのものはあまり変わらない。個性とはそれほど変えにくいのです。しかし強いところを伸ばせば、相似形で全体的に大きくなる。ということは、平均より下だった部分も、いつしか人並みか、あるいはそれ以上になるということです。
基本的に人の相対的な「強み」「弱み」は、そうそう変わるものではないというのは、私自身の経験から言えることです。
私は若いころから自分が受けた評価をずっと保存してありますが、常に「Communication(コミュニケーション)」と「Interpersonal Skills(対人関係構築力)」という項目の評価は高い点数を示していました。
一方「Developing Intellectual Capital(知財開発)」という項目はあまり高くありませんでした。「Working effectively with others(他人とうまく働ける)」という項目は、最初からずっと高かったと思います。
それから、「Contributing to the firm(プロジェクト以外のことにも貢献する)」とか、基礎コンサルティング技術は、「並上」くらい。この形は何年経ってもほとんど変わりませんでした。
もちろん立場が変われば評価の方法も変わるのですが、基本的なレーダーチャートの形はほとんど変形しないまま、何年も経ってしまいました。
とはいえ、会社から「劣っているところを何とかしろ」とは、ほとんど言われた記憶がありません。当時のシニアメンバーは「彼はこれが得意なんだから、これを伸ばせばいい」と思って私を育ててくれたのでしょう。
最近は、ほめて伸ばすことの弊害も言われていますが、やはり人を育てる基本は長所に注目して、そこをほめること。そうやって人を育てることで自分自身のインテグリティも身についていくのだと、私は思います。
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